人間万事塞翁がポニーガール

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  【人間万事塞翁がポニーガール】  

 あの日の朝突然切り取られた私の日常がようやく戻って来た。
 交通事故にあって突然入院したという説明になっていたようで、友達から色々心配してもらった。
「基子……」
 見上げると玲が涙を溜めて立っていた。
「玲……」
「一生、赦さないよね、私のこと」
「おうちはどうなの?」
「いま、なにもかもうまくいってる」
「なら、良かった」
「なんで!? なんで怒らないのよ!? 基子の拳法で殺される覚悟で来たのに!」
 クラス全員がこっちを見た。
「ちょ、おちついてよ、玲」
「うわああん」
「な、泣かないでよ、あーもう、はずかしいなぁ、言わないとだめ?」
「なによう、ぐすぐす」
「耳貸してよ。あのね、楽しいこともいっぱいあったの。くわしく言えないけど」
「おとなになったの?!」
「ちょ、こえでかい! まだ処女よう。だから、心配しないで」
「ああ、言葉だけでは信じられないけど、基子の目、本当にいいことあったんだね。安心した」
 玲が離れていくと、その楽しいことももう想い出の彼方なんだと寂しくなった。

 授業中にもフッと思い出してしまう。
 体にしめつけが無いのがさびしくてたまらない。
 サラのところへ遊びに行くなどと言ってはみたものの、それこそ現実にどうすればいいかなど見当もつかない。
 ともだちが黒板で問題を解くあいだ、ぼーっと窓の外を眺めると、校庭の隅でいつのまにか工事が始まっていた。
 そっか、私のいない間にもこの日常は淡々と進んでいるんだよね。
 美里が前の席にこっちを向いて座る。
「基子、入院中テレビくらい見たでしょ?」
「うん、まあ」
「あのポニーガールタクシー見た?」
「ひえっ!?」
「知らないの?」
「し、しらないかも……」
「あれ、外国の大金持ちの奥さんらしいよ?」
「どうして?」
「特番見てないのか。あのね、あのタクシーの御者の女の人が言ってたけど、あの馬役やってる人は大金持ちの奥さまで、普段はゴージャスな暮らしをしてて、たまにああいうことをするだけで遊んで暮らせるんだってさ」
「何言ってるのよ! 鼻輪見たでしょ!鼻輪! あんなもの付けられちゃうのよ! 胸は覆ってたけど乳首にピアスされてるんだよ! それに……」
「えー? あのタクシーの馬の人はそんな奥様の中でも自分でああいうカッコしちゃうの好きな特別な人だけど、普通の人の場合はおうちの庭でまねごとするだけでいいって言ってたよ?」
「そ、そんなこと言ってたんだ」
「基子、妙に詳しくなーい? 乳首にピアスとか」
「ぎ、ぎええええ」
 し、心臓に悪い。
 ええそのピアスまだ付いてますとも。

「でさ、うちの学校で実験的に学科ができるんだって。まだうわさだけど。校庭で馬小屋みたいの作ってるでしょ。本気で外国のお金持ちに嫁ぎたい子を集めて、作法とか教えるんだって」
「そーんなばかな」
「うちのガッコの場合、大学行っても結局目的ってケコーンじゃん。ハズレ引いたら大変だし、自分ちの家柄のこととかあるからあんまり安パイすぎるのとくっついてもねぇ。その点、相手がその気の大金持ちなら絶対間違いないでしょ」
「美里ちゃん安易に考え過ぎだよう。ひどいことされるかもよ? 閉じ込めてチッソクとか」
「普段がリッチならそれでもいいよう。同じ苦労するならリターンが大きい方がいいでしょ」
「うわあ」
「だってどうせ国内で結婚したって嫁シュートメで苦労すんでしょ? ダンナの方にだって家柄とかあるしい。 いとこのおねーさんなんて、子供できなーいって10年イビられて、結局ダンナのせーしがすくないって分かったんだって。ひどくなーい?」
「でも全部が全部苦労するとは限らないんじゃない?」
「話聞いたって10人中9人が言うよお? てことは標本がそうなら母集団でも同じってコトでしょ?」
「うわああ、いきなり統計とか、美里だてに学年トップじゃないわね」
「ケコーンと勉強関係ないしーイ。ならちょちょいとフランス語でもアラビア語でも覚えてさー、ダンナにチョーアイされたほうがいいじゃん」
「ちょちょいって…… 美里、今の発言学年2番の柳橋さんが聞いたら怒るから他の子に言っちゃだめよ」

「基子もやんなよー、案外似合うカモよー?」
「わ、私はいいわよ! 絶対似合わないよ! それに、そんなハイステップ・トロットとか、アナルしっぽとか無理い」
「なにそれ」
「げ、げふんげふん、そ、そだ、あ、あたし体力無いから」
「うそだーあ」
「だいち私、結婚なんてしないかもだもの」
「ハァ? あんたバカ?」
「あー美里から見れば学年全員バカかも」
「そーじゃなくて。結婚しなくて何が楽しいのよ。チョーアイよチョーアイ」
 私はフッと窓の外を見て、自分に言い聞かせるように言った。
「人生、楽しい関係ってまだ他にもあると思うよ……」
「ふーん」
 美里は理解できないというように怪訝な表情で席を離れた。

 私は休み時間に建築中の馬小屋とやらを覗きに行った。
 白い建築用シートの隙間から覗くと、私の厩とは別格の瀟洒な建物で、中はまだ暗いが確かに馬具を吊るすような金具や柱がある。
 要するに『厩風(うまやふう)』の内装を持つ立派な部室棟だった。
 4つに区切られたその豪華エセ厩は、手前3つが側面まで大きな窓を持つ解放的な構造になっていて、とても惨めな厩とは大違いだった。
 天井から奥の壁にかけては優美な曲線をもつ漆喰で、ところどころに鏝(こて)細工が施され、窓枠の鉄はアールデコ調。
 中におしゃれな椅子でも置いてあればまるでカリスマのいる美容室のようだ。
 綺麗な部屋が3つ並んだ奥に、2面が鎧戸調の優美なシャッターで、鋼鉄の扉がついた部屋があった。
 扉には外開きの蓋がついたのぞき窓があり、デザインは美しいが、まるで刑務所の扉のような頑丈さだった。
 ここは資材置き場なのだろう。
 さらに裏手にはもう一つの資材置き場のようなロッカーと、エアコンの室外機を置く台まで準備してあった。
 エアコンついてる厩って……
 重永美里のへんなうわさ情報に苦笑しながら教室に戻った。

 体調も随分戻ったので、超久しぶりにおじいちゃんと組む。
「基子、これからどうするつもりじゃ」
「卒業したらアメリカに行く」
「沙羅の所か」
「うん」
 パンパンパンと打ち合う。
「基子、おまえな、沙羅を逆調教して来い」
「ぎえええ! 何言い出すのおじいちゃん! 私の技、全部返されて歯が立たないんだよ?」
「ばかもの、そんなもの防ぐ技なんぞいくらでもあるわい」
「だって、教えてくれなかったじゃない」
「お前に教えたらわしが負けてしまうじゃろ?」
「ずるーい。てことはロバートさんは?」
「そんなもの知るわけないじゃろ。そこまで教える時間もなかったし、教えるつもりもなかったわい」
「ロバートさんが知らなければ、当然サラも……」
「知らんじゃろな」
 うわ、それなら勝てるかもしれないけれど、『逆調教』って……

「いいから聞け。ロバートはな、多分沙羅をとっくに調教しとるぞい」
「そんな!」
「気丈なお前をポニーに堕とすなど、自分でされたことがあって細かい所まで気遣いできんと無理じゃ」
「そう言われれば……」
「それに沙羅のあの格好は女王様然としておるが自分も身を任せたいマゾと表裏一体じゃな。お前を調教するときに自分の姿を重ねておったはずじゃ。一発負かしてやってみい、グズグズに堕ちるぞ」
「うわああ」
「沙羅のうちにはきっと沙羅用の馬具一式があるはずじゃ。勝ったあかつきに沙羅に着せてやれ」
「わ、わかったけど、まだ当分行けそうにないし」
「またその時詳しく話すわい」
「うん」

 ――パンバン、バシン――
「うおっ!」
 蹴りがおじいちゃんの受け身を突きぬけて、おじいちゃんを道場の端までふっ飛ばしてしまった。
「大丈夫?」
「基子、脚が強くなったの。油断したわい」
「あ、ああ、そうかもね」
「だが相手の蹴りをかわす時に、下半身が不自然に引けるクセがついたぞい」
 うわああ、ピアスで飛び出たクリに当たったらと思うと、つい……
 とても理由なんて言えない。
「あ、あの、ばばば馬具の擦れが残ってるの……」
「ならば仕方ないかの」
 私は俯いて真っ赤になった。

 日常の寂しさの中で、自分の性器に手が伸びることもあるけれど、少しいじってはため息が出てやめてしまう。
 これだけエロチックな仕様にされているのに、自分でいじってもあの快感に到達しないのはわかっているから。
 ピアスを残してもらっておいて本当に良かった。
 性器の感度は高いままなのが煩わしいが、これを見るたび自分でいじることが禁じられている気がして、淫乱にならないから。
 そう、これは私の大切にしているポジションを最後まで守り抜くための、自分に対するくびき。
 この小さな金属の拘束具を足場にして私の性器を自由にしていいのは、サラだけ……
 寂しさにぼんやりする回数も少しずつ減って来た頃、噂の馬小屋が完成した。
 一番奥の部屋も鎧戸調シャッターが開いていたので覗くと、中は私の厩のような配置で、中はわざと汚くしてあり、藁が敷いてあった。
 奥の隅の天井から蛇腹の管が真下に伸びていて、その先端、藁の陰に押し込まれたあれは……ガスマスク?
 窓ガラスは中の様子が歪むほど分厚く、まるで動物園の猛獣舎の窓だ。
 なにこれ! この部屋だけ違う!
 こうなると、鋼鉄の扉もその存在が飾りではないという現実味を帯びてくる。
 この部屋だけ、ホンモノだ。
 他の子たちは残り3つの部屋に自由に出入りして、すでに飾ってある馬具に触れてキャッキャと騒いでいる。
 私はなつかしい胸騒ぎに襲われた。
 この馬小屋の示すものがただの狂乱なのか確たる未来を持つものかわからないが、私の予感がピリピリと次の展開を告げている。

 休み時間も終り、英語の附田先生が入って来た。
 廊下にもう一人だれか控えているのが見えた。
「今月からネイティブの補助教員が来てくれることになりました。ウイルキンソン先生です。日本語も堪能ですよ。ではどうぞ」
 ウイルキンソンなんてよくある名前なんだなと思った直後に我が目を疑った。
「ハロー」
 サラだった。
「ぎゃーーーっ!」
 大声を上げて硬直し、すぐに口を抑えた。
「おやおや、いきなり悲鳴はひどいですね、基子さん、ハローでお願いします」
「は、はろー」
 ちょっといきなり名前の方で呼ばないでよ! 知り合いだってバレちゃうよ。
「では今日はウイルキンソン先生に授業してもらいましょう」
「はい」

 ぐったり疲れた放課後、サラに呼び止められた。
 さんざんお別れだとか私に悲しい思いをさせておいて、いきなり赴任だなんてどういうつもりよお。
 不機嫌な顔でチロッとサラを見て、はぁーっとため息をついた。
 そのとたん、ボロボロ涙が出た。
「モトコ!」
「サラ!」
 自分にうそはつけず、だれもいない夕陽の廊下で抱き合った。
「でも、どうしていきなり?」
「祖父が亡くなり、私は全てを引き継ぎました。私今お金たくさんあるので、なんでもできますよ。でも事業も続けねばなりません。革製品部門は優秀な部下がいるので全部任せて、人に頼めない方の事業をしています。でも合法的にやりたいので、ブライダルあっせんです」
「うわさは本当だったのですね。ポニー学科」
「いきなり学科は無理です。でもここの学校は理解があります。まあ、寄付もたくさんしましたが。父兄会でも説明しました。意見は明確に分かれましたが、ニーズはあるので、とりあえず同好会からはじめます。実績ができればもっと広めたいですね、それこそ学科になるかも」
「そっか、ここで女子のポニーが見られるんですね」
「モトコが見たらぬるくて鼻水とびちると思います。体操服の上からゆるいコルセット、馬のみみのついた帽子を被り、ハミはありません。帽子に手綱がついてますから、それを御者になる友達に持ってもらい、馬車は手で握って引きます。最終的には単なる馬車けん引スポーツだと知るでしょう」
「なあんだ」
「つまらなそうですね、モトコ」
「いや、ホッとしています」
「うそです。目がつまらないと言っています。もうわかってますよね、モトコ専用部屋のこと」
 耳がキーンとして、視界がぐにょりと歪み、肉に食い込んだ3つのピアスがその存在を主張しはじめた。

「はふっ、はふっ、はふっ、やっぱり……」
「それに、あの山の施設も縮小はしましたけれどまだ維持していますから、長いお休みの時にはあそこへ行きましょう」
「はふっ、はふっ、はふっ」
「ああ、モトコ、久しぶりにいい顔です」
「はふっ、こっ、ここでキスはだめですよ」
「オウ、心得ています。そうだ、おみやげがあるのです。ほら」
 それはピアス用の金の球とプレートで、ロバート氏の時と同じくオーナーの名が彫ってあった。
 "Owner:Sara.M.Wilkinson"
「ふふふ、モトコは祖父の所有財産でしたからね。そっくりそのまま身柄私がいただきです。一生逃がしませんよ、モトコ」
 キスはだめと自分で言いながら、私はサラに飛びついて抱きしめていた。

「そうそう、ゲンゾウから聞いていませんか? 今日からモトコの家に住みます」
「へええ?」
「久々に勝負しませんか」
「い、いいですけど……」
 内心ニヤリとする私。
「ではいっしょに帰りましょう」
「は、はい……」
 家ではサラは歓迎されていた。
 サラのおじいさんのことで同情され、それに解放後、サラがどれだけ気を遣ってくれたかとかおじいさんの犠牲だとか私がしつこく説明していたからだ。
 深夜の道場におじいちゃんとサラと私。
「マスターゲンゾウの前だと緊張しますね。ではいきます」
 あの時のように先手で攻めて来るサラ。
 返して、返して、返して、そして仕掛ける。
 手の内がわかるので返されるが、それは承知の上。
 それを潜って突きを一閃、と見せかけ強烈な蹴りを浴びせる。

「ぐふっ!」
 おじいちゃんの時のように、道場の端まで吹っ飛ぶサラ。
「うう、今度は完敗です、モトコ。もう私の呪縛から逃れられますね」
「うん、サラを調教しちゃう。サラの自宅に、サラの馬具一式、あるのでしょう?」
 サラは真っ赤になって私から目を逸らし、横を向いたまま頷いた。
「はい……」
「やっぱりのぉ」
 おじいちゃんがドヤ顔で言う。
「今度持って来て」
「はい……」
 サラはふらふら立ち上がると突然ガバッと私を後ろから抱き、耳に口を寄せた。
 またサラの囁(ささや)き得意技の体制だ。
「でもモトコ、自分より弱い相手に調教されるのも萌えませんか?」
「へ?」
 ぞくぞくと身震いする私の胸と股間に、サラの手が後ろからしゅるりと伸びる。
 とたんにサラの言っている逆転被虐シチュエーションが頭に流れ込んできて、やっぱり自分が調教されることに興奮してしまう。
「はふっ、はふっ、ずるいよう、サラ……」
「私より強いモコトは、私なんていつでも調教できるでしょう。それよりも、ほら、お友達がいる学園で、皆が無邪気に運動する中で、あそこに一人でポニーとして閉じ込められ、おしおきされる自分を想像してみてください」
「ああああああ! はふっ、はふっ、おじいちゃあん、私、勝ったのにいい! なんでまた堕とされてるのおお? サラ、グズグズになるって……はなしチガーウ!」
「ホッホッ、沙羅の方が一枚上手のようじゃの。ワシはどっちでも傍で見ているだけで楽しめるわい」
「そんなあ!」

 放課後、学校の馬小屋棟の一番奥の部屋、シャッターも扉も閉じた中に私とサラが居た。
「はふっ、はふっ」
 相変わらず処女のままの私の膣に、再び異物が挿入され、男性の精液も知らない子宮口がゴムで犯される。
 一旦忘れてから一気に思い出させられると、とんでもないことされてたんだってよくわかる。
 そこへ再び戻るんだ。
 貞操帯が戻され、少し筋肉が締まってしまったアナルはちょっと苦労しながらも訓練の記憶を呼び覚まし、しっぽプラグを呑み込んだ。
 貞操帯の前の蓋も後ろの蓋も閉じられ、自分では性欲を制御できなくなった。
 お約束通りアナルプラグが膨らまされると、忘れていた排便焦燥が襲って来た。
 あああああ、これが私の正常思考を削ぐスイッチなんだ。
 もう奴隷ポニーそのもの。
 乳首のピアスはオーナーであるサラの名前とポニーである私の名前のプレートの付いた球に戻され、重くなった。
 名前のプレートのついた首輪を嵌められると気持ちも引き締まる。
 テフロンのスリーパーが外され、その大きな金の輪を通されると、惨めな鼻輪の感覚が上唇に戻ってきた。
 コルセット、革パンツ、そしてポニーブーツ、全ての馬具が戻される興奮。
 そしてアームバインダーで完全に腕を奪われた。

 締め込まれ、馬になるため圧縮される快感。
 プルームの無い馬の耳帽子を被らされ、髪の毛はポニーテールと紐の仕様。
 最後にアイマスクと轡を付けられ、久しぶりにポニーに堕ちた。
 サラが部屋の奥にあったホース付きガスマスクを手に取った。
「モトコ、ご主人様にずいぶん寂しい思いをさせた罰をうけなければなりませんよ」
 それはこっちのセリフだー!と脳内で反論するも、涙目でイヤイヤするしか出来ない。
 ガッポリとマスクを被せられ、後ろでパチンと留められた。
 久しぶりに首輪に鎖をつけられ、柱の低い位置で繋がれ、藁にねそべるしかできなくなった。
「ンーーー!! ンンーーーー!!」
「おしおきを楽しんでください、モトコ」

 シャッターを閉じたまま薄暗い明りの中で鋼鉄のドアが閉められ、私はおしおき状態で放置された。
 ガスマスクの狭い窓からこの新築の厩の汚れ具合のわざとらしさを観察しながら、次第に息苦しくなる呼吸の中で今までのいろいろなことや、これからのことを思い浮かべていた。
 また、ポニーガールタクシーで走れるんだ。
 おじいちゃん、本当に乗る気かな。
 サラも馬になれば、2人で引けるのにな。
「はふっ、はふっ、はふっ、ひゅーーーーッ、しゅーーーーッ!」
 本気で苦しくなって来た。
 ええと、あの厩のつもりでもいいんだよね、排泄・汚辱アリだよね。
 学校の中なのに。
 校庭にまだ部活の子、いるのに。
 でも、もう落ちる。
「はふっ、はふっ、ひゅーーッ、しゅゥ−−−−−ーーーーッ!」
 あ、ああああ、藁におしっこもらしてる。
 何もかもがいっぺんに、一番楽しかった瞬間に戻った気がした。

 ああ、きもちいい。

 …………


 しばらく先、週末になると浅草の町を妖しいジジイが御者を勤める2頭立てのポニーガール馬車が走るようになるが、それはまた別の話。


【御竦基子(女→女):人間万事塞翁がポニーガール(じんかんばんじさいおうがぽにいがある)…………終】
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