大団円

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 4にちめの、ひる。

 あ、きょうは、ぎじょうにいくの?


 てぃあちゃんに くっついて、ぎじょうにいった。

 なんか1ねんくらいあってないとおもえるほど、なつかしいみんながいた。

 なんでそんな、かなしいかお、してんのさ。

 あたし、へーきだってば。

 ごぼり、と、のどの でぃるどーが、ひきぬかれ、くちかせの はーねすが、ひさしぶりにはずされた。

 ぜんとうますくもぬがされ、ばいとぶろっくもはきだした。

 わお、あみめ じゃない しかい、ひさびさ。

 みんなのかおが、よくみえて、いいね。

 じゃりっと、みみに なにか さしこむ おと。

 そして、ごきいいん! とすごい おと。

 ぼそり、と、おとがして、みぎのみみがらくになった。

 つづけて、ひだりも。

「わあわああわわああわあわわわあわわわわあ」

 みんなのはなしごえが、こんなふうにきこえる。

 そのうち、しゅおおおおおおっておさまってきて、やっとふつうになった。


「では、姫様、そろそろ良いお答えをお聞かせ願えませんか。独立自治を認めると」

 あたしはくちがうまくうごかなくて、とりあえずくちびるをべろでぺろりんとなめまわした。

「ぷああ」

「ロ! ロッドシールッ! きっ貴様! 姫様になにをしたッ!」
「別に、あのまま姫様の望まれるままに訓練を続けただけですが。 長老、興奮なさるとお身体に障りますぞ」
「じゃっ! じゃがあの姫様のご様子はただごとではないぞ! 薬か! 薬を使ったのか!」
「とんでもない! そんな無粋な真似は致しません。訓練の中で次第に皆命令に集中する、研ぎ澄まされた心になってまいりますので、多少なりともその影響はあるかと。しかし訓練はもともと姫様のご意思ですぞ」
 ろっどしーるは、にやりとわらう。

「さ、姫様、独立自治をお認め頂けますか?」
「そ、そんな誘導するような問い方はやめい!」

「えっとぉ……」

 あたしがしゃべりはじめると、みんながしーんとなった。

「すごいですよ、せんしゃ。きもちいです。しょうじきいって」
「姫様、戦車隊の体験のことではなく、ずっと続いている肝心の議題についての結論をお願いします」
「あー、またそれぇ? あー、やっとあたまがはっきりしてきました。いやー、せんしゃうま、きもちよすぎて。あ、でも、あたしさいきんすぴーどでるようになったんで、おしりのでぃるどー、さきっぽがちょっといたくなってきました。もうすこしさきのまるいやつになりません?」
「かっ、形は、そっそれがしの形ゆえ、きっ決まっております。ならば、少しだけ短くさせましょう」
「たすかるー。うんうん、きっとせんそうになったら、あたし、せんじょうで、だいかつやくできますよ」
「ゴホン。姫様、先程の……」
「あー、ごめんなさい。 じち?」
「それです」
「ちょ! 姫様はお疲れのようじゃぞ! 無理強いするでない!」
「お見苦しいですぞ。肝心の一言です」
 ぎじょうがまたしーんてなった。

「やだ。」

「は?」

「やですよぉ、いまのままがいちばんきもちいいのに」
「あー、姫様? 姫様ご自身の首輪や、ティアルス殿の首輪のこと、お忘れか? お忘れになっていないのなら、お答えは限られると存じますが」
「えー? でもあたしがきめちゃっていいんでしょ? なら、こんなふうに あたまにもやがかかって、だいじなこと ぜーんぶほったらかしにして、えっちできもちいい うまになって、いわれるままに はしってるのがいいなぁ。 こうこつがくるの。こうこつが。しってます?こうこつ。のうないまやくっていうらしいけど。らんにんぐはい。それそれ、きっとそれ。すごくのうみそがぱあああぁってあかるくなって……」

「ええええい!もうよい! 姫様! 直接申さねば、あなたご自身のお立場がお分かりにならぬのか?! ご自身どころかティアルス殿まで人質なのですぞ?! それにここにいる者たちも、殺そうと思えばいつでもできるッ!」
 ろっどしーるは、 にわかに すごいぎょうそうになり、おおごえをはりあげた。

「本性を現わしおったな! ロッドシールッ」
「えー? なにおこってんの? あたし、しょうじきにいったよ?」
「ええいうるさいッ! こうなったら力づくでも姫にうんと言わせるぞ! あるいは長老たちでも良いッ! 無理にでも認めさせるッ!」

 ろっどしーるはおこってでていった。
 てぃあちゃんはつれていかれちゃって、かわりにへいしが ぎこちなくあたしのみみかせや ばいとぶろっくや ぜんとうますくや くちかせをもどした。
 また おとの ない せかいに とじこめられた。

 あたしは ぐいぐい ひきたてられ、 また うまやへ もどされた。

 むおんのせかい、 ぎちぎちのぜんとうますく、 あみめのせまいしかい、 のどをおかすくちかせ、 あーむざっくのうしろでこうそく、 あなるでぃるどー、 そして ていそうたいで ちょうのうりょくを うばわれてる。

 せんしゃの うま いがい、 なにも できない あたし。

 てぃあちゃん、 どうなるのかな。

 あたしも、ひどいこと されちゃうかな。

 ぞくぞくぞく。

 こんなときにも おま○こ いじりたくなってきた。

 だって、 ほかに すること ないもん。

 まっくろな いもむし みたいに されてる あたし だけど、 くねくね うごけば お○んこの なかに ある でぃるどー がきもちいい。

 これは あたしの ちょうのうりょくを うばう かせ だけど、 きもちいいから こそ かせ として きのう する

 あたしの ちょうのうりょくって ちからわざ より じょうたい へんか に ちかい。

 なんびゃっきろ さきの たいふう けすのも、 めのまえの わりばしを こなごなに するのも、 つかう えねるぎーは ほぼおなじ。

 なにを するにしても たいしょうぶつを いめーじして がーーって ねんじるの。

 すると、おま○この おくが あつくなって、 そのちからが ぶっしつを へんか させるみたい。

 いめーじが はっきり ねんじられると けっこう じざいに あやつれる。

 こなごなも、 まっぷたつも、 ぐにゃぐにゃにするのも、さらさらにするのも、できる。

 いめーじが おぼろげだと、 なにも おこらない。

 それから、 こころが あせってると、 せつだんとか むりで、 ただ こなごなにしちゃうの。

 おま○んこ からっぽだと いち にかい ちから つかっても わりと へいき。

 つづけて つかったり、 なれない ほうほうで つかうと ちょっと きもちわるく なったりする。

 ちから だすとき ちつや しきゅうが もうれつに ちぢむらしく、そのとき いぶつを いれられてると、きもちよく なっちゃって ちからが かいかんに へんかんされちゃうの。

 きもちよく なったら ちょうのうりょく だせない。

 ちから つかおうとすると むりやり きもちよく させられる しかけを お○んこに はめられてるの あたし。

 しかけを やぶれないか、なんかいか ためした けど、どろりんて きもちよさに ながされちゃって、だめだった。


 ……

 じつわ、いまわ、ちょうのうりょくなんて、 どうでもいいのよん。

 ずっと ごぶさた だったから、いける ちゃんすに、 きもちよーく いき たい の。

 ちょーのーりょく かんけい なしに。

 うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。

 えい。

 えい。

 えい。

 とろとろの あたしの なかが、 いぼいぼの おうとつを しめつけ、 いぼの いちばん たかいところから ころりと ずれる しゅんかんに、 とろける みたいな かいかんが はしる。

 はぁぁあぁぁぁぁ……

 すっごい、 きもちいい……

 なにもかも わすれて みじめな みぶんで えっちなこと だけ かんがえるの、 さいこー!

 かんがえて みれば すごいこと されてるよね。

 おまん○に きんぞくの ぼう ずっと いれっぱなし されて。

 あたしが ちょうのうりょく もってる かぎり ずっと ぬいて もらえない、 かせ。

 それを ぬけなく する ための ていそうたい。

 あたしの おま○んこの ろうや。


 また お○んこ しめる。

 はうッ! いいこぶ ついてる なぁ。

 こぶの ふくらみの けいしゃが さいこうに きもちよく せっけい されてるの。

 こりって おとが きこえそう。

 こりこりこりこり、 ぱああああっと のうみその なかが あかるくなる。

 じぶんで ゆび いれたこと あるけど、じー すぽっと だっけ? あの ちつの てんじょうの ざらざらした やわらかい ふくらみが きんぞくの きぐで、 あまく そして つよく おされるんだよ。

 おつゆ まみれの ちつ の なかが きんぞくの やまで おされる ところが そうぞう できちゃうよ。

 こりっ。

 ああぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁんん……

 のどを ふうじられて いるけど、 こえが でる つもりで あまく さけぶ。

 ついでに いりぐち ちかくも あさい ざらざらで しげき されると、 もう たまんないの。

 みみが あつい。

 ほほも やける。

 や、はずかしいぞ あたし。

 えっちじるが おまたを よごしてるぞ。

 ぬるぬるして、 きもちいいから、 いいの。 それで。

 くろい いもむし みたいに されちゃってる からだを くねらせ、 どんどん のぼる。

 はああぁぁっ……

 はああぁぁっ……

 はああぁぁっ……

 はああぁぁっ……

 はああぁぁっ……

 むりょくで みじめな じぶんが きもちいい。

 だいじなこと いっぱい いっぱい ほったらかし。

 せきにん ほうき して いいよね?

 ああん……

 もう いって いいよね?

 ぷしゅーーーっ!

 すぴいぃーーーーっ!

 あつい はないき。

 もう、ほんとに いきそう。

 だめおしで、 りゅりゅっと おま○んこのなか すりつける。

 い!

 いく!

 いく!
 いく!
 いく!
 いく!
 いく!

 いく! ぅ! !!

 はひいいいいいいいいぃぃぃっ!

 こしが はねちゃう よぉ!

 まだいくぅ!

 まだいくぅ!

 まだいくぅ!
 まだいくぅ!
 まだいくぅ!

 くうっ!

 くううぅん!

 はくっ……

 おしっこ もれちゃった!

 ああもう めちゃくちゃ だあ。

 ……

 おまた、 きもちわるいな。

 がーっと つかれが でて、 おしっこまみれのまま ねた。


 気付くと痴態を晒したまま眠り込んだ状態だった。
 今がいったい何時なのか、どれだけ眠り込んだのか、いったい何がどうなっているのか、さっぱりわからなかった。

 淫らな気分を全てこの黒革戦車隊スーツの中に押し込められ、精液調教と拘束強制運動調教で妖しく煮込まれ、耳枷で理性の最後の一片まで奪われて、記憶も断片的になるほど頭がヘンになっていたみたいだった。

 しかし調教中の強制快感でなく、自分の意思ですっきりイッたからか、メロメロのエッチだらけの気分は随分と醒めていた。

 脳がスッキリするほど快感を貪りまくった自分が恥ずかしい……


 ハッ!

 急に、あの議場での出来事がおぼろげに思い出される……

 大変だ!
 ロッドシールがキレたんだった。
 ティアちゃん連れて行かれちゃった。
 あの後どうなったんだろう。

 そんな大変な時なのに、私ったら……状況に酔って、気持ちよーくイッてた?!
 やばー。

 それにしても、ロッドシールが何も言ってこないのが不気味だった。
 私を放置して、どうするか処遇を決めているのだろうか?

 仮に私やティアちゃんの首輪のことを盾にされ、強引に独立を認めさせられてしまった場合、法的には有効なんだろうか。
 いや、それは地球での考え方で、アナムネならばこのまま逆に王都に攻め入ってクーデターということも考えられる。
 そうすれば、私をはじめティアちゃんや長老たちは人質で、官軍が怯んだ隙に攻めるという作戦なのかもしれない。
 最悪、私とティアちゃんは拘束具だらけで取り回ししやすいから最後まで人質として扱われ、長老たちは最初に皆殺しかしら。


 いつもよりかなり遅い時間にロッドシールが来た。

「……! …… …… ……!!! ……!」
 形相が別人のようだった。
 声は聞こえないけど、ものすごく怒ってるのがわかる。
 首輪のネジ鍵を握り締め、言葉も伝わらず、表情も見えないはずの全頭マスクの私に向かって、ガミガミとまくし立てる。
 ゴボリと喉枷が抜かれ、給餌のための台など使わずに、ペニスを私の喉に突き立てた。

 完全な陵辱モードだった。

 いつものように食事として精液をもらうのももちろん惨めだ。
 だけど、相手が自分を虐めるためだけ、征服の対象として蹂躙するためだけに口を犯してくると、普段と全く同じ行為なのに、抗えない自分が本当に矮小な存在に思えて、惨めさが倍増する。
 ドクドクといつも以上に喉に射精した。

 ロッドシールは射精したペニスを私の喉から抜くと、全頭マスクの上から嵌められた口枷のハーネスを掴み、私の顔をグイと上げ、パンパンと平手打ちした。
 可愛さ余って憎さ百倍、といったところか。
 残念ながら戦車隊の全頭マスクのせいで殆ど痛くないんだけど、私をモノにできなかったロッドシールの悔しさや、投げやりな感じがひしひしと伝わってくる。
 こんなただの真っ黒い革の球体にされた顔、ましてや目の穴なんて表情すら見えない網目状に塞がれてる私の顔を殴って、何か面白いのだろうか。
 いつまで調教を続けても思惑通りコワれていかない私が、ロッドシールは相当に悔しかったのだろう。


 ―― パン! ――
 ―― パン! ――

 ―― パン! ――
 ―― パンッ! ――

「こひ! こひッ!」
 声を出してるつもりはないんだけど、頬を叩かれて顔が横に飛ばされるたび、ぽっかり明いた口が風切り音を立て、呼気が漏れるのが、自分の身体経由で塞がれた耳におぼろげに伝わる。
 同時にその口からは唾液と精液の残りの飛沫が散る。
 叩かれた肉の振動が、ビイン、ビインと耳枷に響く。

 ロッドシールは悔しさのためか涙目だ。
 私も昆虫のような網の目の目の穴から、滲んだ涙の飛沫を散らす。

 自分の手の方が痛くなったのか、ロッドシールは私を平手打ちするのをやめ、給餌の台にも載せずに今度はお尻のディルドーを抜いてすぐさま私のお尻の穴を犯した。
 これも給餌とは違う、本当に悪意を持って犯される惨めさ。
 膝だけ立てて、手はつけないので全頭マスクの頬を床に擦り付け、お尻だけ高く上げた状態の私に、リズムもなにも無く、めちゃくちゃに突っ込んで来る。
 射精なんてもうどうでもいいって感じで、ひたすら私に惨めさを味合わせたいのだろう。
 さんざん犯しておいてから、殺すつもりかしらね。

 それでもやっぱりゴボリと射精した。
 いつもはごはんもらってる気分だったけど、今は本当に惨めに犯された気持ちだった。
 そんな精液を受け入れるのが不快に思えて、アナルの反射を装ってぶびゅって出しちゃおうと思ったら、すかさずディルドーを戻されて、栓をされてしまった。
 お尻に力を入れようとした瞬間だったので、いつもはすんなり受け入れる木栓に、思い切り括約筋を擦られて痛みが走った。
 ヒリヒリするお尻が惨めだった。

 ロッドシールが悔し紛れに私のお腹を2・3回蹴り上げる。
「カハッ!」
 蹴りはやはり戦車隊スーツが吸収し、たいしたダメージじゃない。
 蹴られながら見上げると、目つきも完全に別人のようだった。
 今まで相当自分をねじ曲げてあの慇懃(いんぎん)さを保っていたのだろう。

 やりっぱなしで放置して去るロッドシールを涙目で見送ると、兵士が喉枷を私の口に戻した。


 そのままずっと放置で夜になった。

 放置されっぱなしで一日が終わっちゃった。



 空腹で目が覚めた。

 昨晩からずっと、今まで耳にしたことも無い何かの振動のようなものを感じていたが、よくわからなかった。
 たくさんの人が慌ただしく動いている様子にも思えた。


 朝食時になってもロッドシールは現れず、私は何もできないまま、ただ厩(うまや)に転がっていた。


 何か大きなものをゴトゴトやっているような振動は、まだ聞こえていた。


 少し眠っていた。

 うう、お腹減った。
 今は憎い相手の精液でもいいから欲しいという気分の自分が信じられない。

 結構眠ったなぁ。
 のっそり起き上がって、中庭に面した小さな鉄格子の窓を見ると、まだ明るかった。
 夕方に近い午後かな?

 ほとんど聞き取れないが、遠くがさらに騒がしくなったようだ。
 やがて急に周囲が振動して、いきなり兵士達に覗き込まれた。

 彼らは何か叫ぶと、私の首の金具に鎖を繋ぎ、そのまま引き立ててた。
「ンーーーー!?」
 喉まで塞ぐ柔らかい口枷を押し込まれているので、反論も質問もできないまま、首を前に突き出すようにして後ろ手アームザックのままバランスを取りながら前屈みでついてゆく。

 厩(うまや)から渡り廊下を通って城に入る。
 向かっているのは議場のようだった。
 いつもは外から直接議場に入っていたので、この通路が本当にそうなのかわからないけど。
 それとも城の地下牢にでも連れて行かれ、一生幽閉かしら。

 やがて議場前のホールに出たが、そのまま通り抜けてしまい、中庭に出た。
 いつもは城の裏側の広い芝地で調教されているので、中庭は目新しい感じがする。
 美しい庭園にもなっているが、その一角では城内での発表や、一部公開処刑などが行われる場所だ。

 日が傾きかけてやや暗いその中庭の隅には、木製の台が設置され、周りに兵士が並んでいた。
 まだ点火されてはいないが、松明(たいまつ)があちこちに設置されていた。
 台から少し離れた所には長老たちが集められて座らされていた。
 即席で作られたと思われる真新しい木の露台の上には、立ったまま罪人を晒すピロリーという頭と手を拘束する木製の枷が立っていた。
 中世の絵とかでよく見る、首の穴と手の穴が明いた木製の首手枷に、立った状態で晒せるように木製の棒などの土台が付いたやつだ。

 ピロリーは2つ。
 背の高いものと低いもの。
 その一つはすでに黒い人影で埋まっていた。
 私はゴクリと喉枷ごと生唾を呑んだ。

 ティアちゃん!!

 低い方のピロリーに繋がれていたのは、まぎれもなくティアちゃんだった。
 華奢な身体を戦車隊のギチギチの革衣装に包み、顔だけ露出したまま、手は手袋のまま、上下から首と両手を木枷で挟まれ、固定されていた。
 左右に乱れて垂れた髪の毛が顔の両側を隠し、それを掃えない状況なのが痛々しさを強調している。

 鎖を引っ張られ、私もそのピロリーの方へ引っ張られた。
 露台の階段を上がる私の靴音に気付いたティアちゃんがこっちを見る。
 食事を与えられていないのか、それとも何か凌辱されたのか、憔悴し切った、力の無い表情だった。

 ティアちゃんが弱々しく何か喋った。
「…… …… ……」
 耳枷のせいで全く無音だ。
「ンーーーーー!!」
 こんな時何も言えないのが口惜しい。
 マゾな気分の時は拘束感のある網目状の視界も、命がけの場面では煩わしいだけだ。
 ティアちゃんの唇の動き……
 『私の事はかまわないでください』……かな。

 そんなわけいかないでしょ。

 目の前の、私専用らしい首の穴1個だけの急ごしらえピロリーが解錠され、鎖を外された首が無理矢理押し込まれる。
 不自然な姿勢でアームザックのまま前傾させられ、腰の位置が定まらない。
 少し足を開いたらちょっとはマシになった。
 ピロリーが施錠され、ティアちゃんと並んで露台の上に晒された。


 城壁の向こうは夕焼け空だが、城の中庭はもう暗くなってきた。
 松明が灯される。

 そこへ大きな掲示板のようなボードを兵士に引かせたロッドシールがやってきた。
 ここから見てもロッドシールの目つきが尋常でないのがわかる。
 もうやぶれかぶれのようだ。

 この状況下ではティアちゃんの命も私の命も、本当に皮一枚で繋がってる状態だ。
 今まではロッドシールのプライドか偽善的善意かしらないけど、ヤツが体裁を保つ方を優先してたのでなんとかなってた。
 実際にはこのタイマー式の首輪を嵌められた時点で負けだったのだ。
 この先、ロッドシールが首輪のネジを巻いてくれるとはとても思えない。
 ティアちゃん殺してでも、私を殺してでも、自分の目的を達するだろう。

 もともとロッドシールは武力で独立する腹だったのだろう。
 しかし、途中で王国ごとやんわり乗っ取るつもりにでもなったのかもしれない。
 最初にヤツが自分で言ってたように、私に対するストーカー的なあこがれもあって、私も手に入れてイロイロやらせたかったのかもしれない。
 そうすればついでに王国ごと手に入る、と。
 でも私があんまり思い通りにならないので、こだわりを捨てて実力行使に出たわけだ。
 ティアちゃんと私を人質にして、長老にでもウンと言わすつもりだろう。
 あとは王都に攻め上ってしまえば何とでもなると考えているのだろう。


 ロッドシールは兵士に運ばせたボードを長老たちの方に向けた。
 よく会議室にあるホワイトボードを木製にしたような、これも急作りの代物。
 そこには羊皮紙にペンで描かれた首輪の設計図らしきものが貼ってあった。
 そうか、長老たちはまだ私たちがこの殺人首輪を嵌められていることを知らないんだ。

 ロッドシールが何かを声高にわめいている。
 長老たちはどよめくような仕草を見せ、長老が立ちあがって何か叫んでる。
 ロッドシールは設計図をバンバンと叩き、卑劣な笑みを見せる。

 大き目の設計図なので、網目の視界越しですら、ここからでも読める。
 だいたいの仕掛けはティアちゃんから聞いていたけど、話だけじゃ想像できない代物だからね。
 ふーん、首輪内部のレールを走るキャリッジ?に蜘蛛の糸を留めてるのって、ニカワみたいな糊で留めてるんだ。
 蜘蛛の糸が細すぎて、カシメてもネジ留めしても固定できないのかしらね。

 ああもう、聴覚を奪われてるのがもどかしい!

 ロッドシールが何か言ったら、みんなが一斉に悲壮な目でこっちを見る。
 長老は激怒中。
 そんなに怒ったら、血管切れるよ?

 タイマー部分は歯車の絵ばっかりで理解できない。
 タイマー部についているアラームの鐘が、小さなゴングみたいでかわいい。
 結局はタイマー部から出てる爪がキャリッジに引っかかっていて、それが外れるとバネの力で蜘蛛の糸が首輪の内側を一周して切断するわけだ。
 間違っても爪をどうにかしようしちゃダメよね。
 失敗したら糸が作動しちゃうもん。

 図面を見たからって私たちの運命が変わるわけもなく、長老たちはロッドシールの目論見通り、絶体絶命だということがキッチリ理解できてしまって大騒ぎになっている。
 なるほど、事が急に進んだので、あの熊公みたいなデモンステレーション用のぬいぐるみを用意できなかったんだ。
 それに、私みたいのにはぬいぐるみ切断して見せた方が効果的で、エラそうな人たちには図面を見せた方が効果的だと思ったのかもしれない。

 ロッドシールが首輪の鍵をくるくると振りまわすと、長老が哀れなほどそれに合わせて顔を回してる。
 猫ですかあんた。

 狂気に満ちた目のロッドシールがティアちゃんを指さす。
 手を拡げて「5」を示している。
 アナムネと地球の時間単位はほぼ同じだから、あれは多分5分ってことだろう。

 真っ青になって慌てる長老。
 皆で話し合っている。

 えーと、ひょっとして、それって、マジ?

 急に私にもコトの重大さが認識できた。
 いつのまにか事態が激しく切迫している。

 ……ティアちゃんの命、あと5分?

 ちょ! 何よそれ!!

 ヤバイ!

 この状況、ロッドシールは本気だ!

 なんとかしないと!

 えええええええい!

 ニルさん時みたいに、ディルドー差し込まれてても力使えないかな?!

 やばい、やばいよ。
 熊のぬいぐるみみたくなっちゃう!
 ティアちゃん死んじゃう!!

 タイマー止めればいいのよね。
 留め金の爪に注意して、歯車歪めェェッ!と念じる。

 うーーー!
 ううーーーーー!!
 ウウウウウウウーーーーーーーーーーッッッ!!

 下腹部熱くなってきたけど、まだディルドーは動かない。
 これはイケるかも!!

 がんばれ、あたしのおま○こ!!
 全力で締めつけて、気持ち良く動かないように止めといて!!

 うーーーああーーーー!

 アッ!

 締めつけが一定値に達したら、どろんと内部で滑った。

 あ! あ! あ! あ! あ! あ! あ! あ! あ!

 やだやだやだやだ!

 感じちゃうよぉ!

 根性見せろよ!あたしのお○んこ!

 膣内部がキュンキュンに擦り上げられ、快感の唾液が口いっぱいに溢れ、喉が喉枷を締めつける。

 けぷっ!!
 らめええぇぇぇぇぇ!!
 ぎもじいいいよぉ!!

 さすが歴代獣王女を諌(いさ)めたディルドーだけあって、伊達にこの形してない。
 あたしのおま○このイイとこ、完全に知り尽くしてる。

 ぐぬううううううう!

 ココまでこれに抗ったことなかったから、力を奪うためのディルドーの実力をこれだけ実感したの初めてだああああああ!!

 まけらい。

 ひあひゃんらすけらきゃ。

 ひんりゃうよぉ、ひあひゃん、ひんりゃう。


 長老たちがいよいよ悲壮感いっぱいに立ち上がる。

 きっと首輪のアラームがチンチン鳴ってるんだ。

 ってことは、効いてない? あたしの力。

 歯車歪んだら、チンチン鳴らないよね。

 まずいよ!

 もう何秒もない!

 やだ!

 やだ、やだ、やだ、やだ、やだ!

 殺すならあたしを殺してよう!

 なんでティアちゃんなのよぅ!


 てめー! ロッドシール! ブッ殺す!!

 しねえええええええええええ!!

 ……何も起こらない……


 私の心の叫びも虚しく、すべてが悪い方へスローモーション映像のように流されてゆく。

 涙でぐちゃぐちゃの長老の顔。

 これが現実とは思えない。

 ティアちゃんが私の目の前で、私のすぐ傍で、殺されるなんて。

 ティアちゃんが見せられたって言う、親しくなった人の首が落ちる瞬間。

 それをあたしがティアちゃんの首で見せつけられるなんて。

 あんな、ニカワみたいのでくっつけた糸で、首が切れるほど強靭なわけないじゃん。

 きっと! 接着部がッ! ポロリと! 剥がれてッ! 動作不良だよーッ! バカメ!!

 無意味に力んでも何も起こらない。


 ああ! も、もう、もうほんとに作動しちゃうよ!

 ティアちゃん死んじゃヤダ!!

 あたしが替わるからああああああああああああああ!!



 その刹那。

 ピロリーに挟まれ、ずっと俯(うつむ)いてたティアちゃんの、首がグラリと揺れた。


 え?

 やだ……

 うそでしょ……?



 もう忘れてた、後ろ手に固定されつづけてた、自分の手の感覚なんて。
 背中にずっと回されたまま、棒みたいに固定された手。
 その手に滾(たぎ)るような汗が湧く。

 突然、それまでと違った、別次元の高熱が、私の下腹部の奥の奥を支配し、身体全体が熱くなった。

 喉枷、邪魔ッ!!
 固定ベルトが弾け飛ぶ。
 プッと吐き出すと、ロォエエッ!!と嘔吐反射を伴って喉枷が舌の上を滑るように吐き出され、ボチャッと露台の上に落ちた。

 マスクも今は邪魔!!
 全頭マスクの内部で、私自身が青白く光ったような気がしたあと、バリッと音がしてハーネスごと全頭マスクが消し飛んだ。 頭はまだピロリーに固定されたままだ。

 そのまま口をギギギと開いてゴムのブロックの噛み具から歯を抜くと、手も使わずにそのままベッと吐き出した。

 パキイイイーーーーーン!!と耳を劈(つんざ)く高音が響き、耳の穴が緩んだ。
 頭を左右に振ると、耳枷がボトリと落ちた。
 わあわあという音が耳に籠り始めたが、そんなことよりも周囲の状況変化の方が早かった。

 これらすべてが、ほぼ1秒程度のうちに起こった。

 まだピロリーに拘束されたままの私だけど、本当に殺す気でロッドシールを睨みつけた。

 全頭マスクが消し飛んで現れた私の顔が、どんだけ凄い形相だったのか、ロッドシールのみならず長老たちまで、鬼に見据えられた子供のような、蒼褪めた顔色のまま固まっていることでわかる。

 多分、メデューサのように目から怪光線でも出ていたのかも知れない。

 動かないティアちゃんをなんとかしようと思っても、首がどう切断されたかわからず、ニルさんの時のように『繋ぐ』という発想にならない。
 切れてるはずの首が露台の床まで落ちないのもなんか不自然だから、ヘタにいじれない。
 なんとかしなきゃと思いつつも、私の全怒りはロッドシールに向けられた。
 いまだ首をピロリーに固定され、手はアームザック姿のままだけど、真剣に殺すつもりで睨む。

「ろっどしーーいいいいるうううううううう!!!」

 ギリッと食いしばった歯の隙間から絞り出すように叫ぶ。

「ひいいいいッッ!!」

 さっきまでの卑劣で尊大な態度はどこへやら、この男がこんな顔をするのか、というぐらい卑屈な顔。

 ちょっと思うだけで簡単に殺せるのはもうわかってた。

 でも、おじさまを一瞬で殺してしまった時のトラウマが心のどこかでブレーキを踏んでいるのか、また逆にティアちゃんを殺された恨みはコイツを一瞬で霧にするくらいじゃ収まらないという私の心の闇がそうさせたのか、さんざんロッドシールを睨んだ挙句、私は視線を動かして城の尖塔を睨んだ。

 ―― ドゴーーーーーン!! ――

 轟音が轟(とどろ)き、城の尖塔が一瞬で灰になり、バラバラと中庭に降り注いだ。

「キャアアアアアア!!」
「うわあああああああああ!!!」

 兵士や侍女たちの悲鳴が中庭にこだまする。
 降って来るのは砂や灰だけど、巨大な構造物が一瞬で破壊されるのは相当な恐怖だろう。

 今度は城壁を睨む。

 ―― ズバァーーーーーン!! ――

 城壁の一角が一瞬で霧になり、手前に居た兵士たちは背中から砂を浴びせられ、踊るようにそれを払っていた。

 憎きロッドシールの居城中央を睨む。

 ―― ゴギイイィィィーーーーーーーーーーーン!!!! ――

 城が中央から真っ二つになり、一瞬向こうの暗い夕焼け空が見えた後、切り口の左右の構造が欠損部に向かってガラガラと崩れ、城の屋根の中央が少し凹んだ。
 城の壁の一部が、中庭に向かってバラバラと崩れ落ちて来る。
 城の内部が騒然となってるのが聞こえる。

「ロっどしーーぃぃぃるううううううううッッ!!!」

 再び、眼球から血しぶきが出そうな勢いで睨む。

「げひいいい!!!」

 私の本気を目の当たりにして、とても正常ではいられなくなったようだ。
 顔じゅう涙でグチャグチャにして、中庭の芝生に這いつくばって逃げようとするロッドシール。
 腰が抜けたのか、みっともなく足掻くだけで、ちっとも前に進まない。

「ティアちゃんをもどせぇぇッッ!!」

 ―― ドムッッッ!! ――

 くわっと睨んだら、再び野太い轟音が轟き、ロッドシールの足元、腹の下の土が茶色い霧になって周囲に散った。

「ギャハーーーーッ!!」

 歪んだ悲鳴を上げてロッドシールは深さ1mほどの穴に落ちた。

「姫様…… おやめ下さい……」

「え?」

 傍らから聞き覚えのある声が聞こえ、ギョッとして横を見るとティアちゃんがこっちを見ていた。

 垂れた髪の間から、優しく微笑んでいる。

「ぷム?」

 私は涙と鼻水が一瞬で溢れ、声が詰まり、鼻涙管がツーンと痛くなった。

「……ヒック! くび! 首は? 大丈夫なの? プムッ!」

「首輪は作動したようですが、この通り、無事なようです」
「ヒック! ……だって、首がカクンて…… グズッ!」
「首周りの内側を回転する部分の動きが強く、皮膚に当たってビクンとなりました。でも切れてません」
「グジッ…… 間に合ったんだ…… どのタイミングで壊せたのか知んないけど…… グひっく!」
「そのようですね……」

 私はグチョグチョの泣き顔のままピロリーに挟まれた顔を上げ、恐怖に固まってる兵士や侍女たちに向かって叫んだ。

「誰か!! これ、外して!!」

「はヒィいッ!」
 恐怖でもの凄い形相になった兵士が鍵を持って飛んで来て、私とティアちゃんのピロリーを解錠した。

 私は泣き顔だけど、それまでの勢いで、壇上にアームザック姿のまま仁王立ち。

 全頭マスクと一緒に髪留めも吹っ飛んだらしく、髪の毛垂れている。

「ロッドシール!!」

 穴の中に向かって叫ぶ。

「ヒ! ヒヒヒヒヒ!」

 穴の中、土まみれの薄汚れた人影がゴキブリのようにゴソゴソ動きながら奇声を上げている。

「ロッドシール!! 鍵束をよこしなさい!!」」
「ヒイッ!!」

 私の大声にビクンと惹き付けて、恐る恐る懐から鍵束を出す。
 ティアちゃんが壇上からひらりと飛び降り、更に穴の中に飛び込んでロッドシールから鍵束を受け取った。

「ヒイイッ!! ヒャアァ!!」

 ティアちゃんの動きにいちいちビクついて、手で顔を防御するような仕草をするロッドシール。
 もう完全に狂っちゃったみたいだった。

 ティアちゃんも首まで戦車隊服のままだから、土の汚れも気にせずそのままひらりと穴から駆け上がって来た。
 黒い土くれを撒き散らしながら壇上に上がって、私の首輪を解錠した。
 といっても、鍵穴以外は戦車隊の革スーツに内蔵されてしまっているので、革スーツを脱がないと首輪は外せない。
 ティアちゃんも自分の首輪を解錠した。
 もう作動は終わっているけど首輪としての施錠はそのままだったから。
 それに、蜘蛛の糸が首に巻き付いて残ってたら、危ないしね。

「……暗くてよく見えませんが、……やはり糸の接続が外れているようですね」
 外した自分の首輪をじっと見てティアちゃんが言う。
 やっぱり接着部の膠をイメージしたのが効いたんだ。
 恐怖を煽ろうと図面なんか見せちゃって、ロッドシールは力の対象物をイメージする情報を私に与え過ぎた。

 ティアちゃんは自分の手の土を祓うと、再び壇を降り、一番近くで恐怖に立ちすくんでいた侍女に布切れを出させ、壇上に戻って私の顔を拭ってくれた。

「姫……様……」
「ありがとう、ティアちゃん」
 そこで初めてティアちゃんはボロボロと大粒の涙をこぼした。
「ひめ…… あ…… あり…… ウッ……!」
 普段表情の乏しいティアちゃんが、滅多に見せない、感情のままにくしゃくしゃにする顔。
 私もまた泣きそうだった。

「姫ぇー」
 長老がやっと事態を把握したらしく、露台の階段を上がって来る。
 私もやっと嬉しさを実感してそっちを振り向いて叫んだ。

「あ、長老ぉーー……! あろ? オロロロロロロロッ!! ごべァーー!!!」

 突然視界が歪み、激しく気持ち悪くなった。
 ロッドシールの精液をしこたま吐いた。

 力を発動した時から今まで私の全身を満たしていた、漲る力の塊が消え、急に身体の支えを失った。
 そして身体の奥で、お○んこがケイレンしてるような感じがするのに気付いた。
 痙攣は今始まったのではなく、ずっと痙攣していて、今それが次第に解れてゆくのに今気付いたような感じだ。

 すると、モーゼの十戒じゃないけど、今まで何らかの力で左右に押しのけていた大波が、一気に私に襲いかかってきた。
 ゾクゾクと、本来いっぺんに味わってはいけないモノを一度に味合わされそうな予感がする。
 ものすごくヤバい感じ。
 仰向けで拘束され、口枷で閉じれない口に、周りを人々に囲まれ、皆が手に手に甘いケーキを持ってニヤニヤ笑ってる感じ。
 ハチミツをビンごと飲まされる感じ。

 ツケが来る。
 連続で大パワー発生させたのに、快感を無理矢理抑え込んだツケが来る。

 露台の床にドシャッと横倒しになる。

「姫様!」
「姫!」

 ティアちゃんと長老の叫ぶ声が聞こえたけど、お腹の奥からゾクゾク駆け上って来る、快感の波に意識が押し流された。

 はーーーーーっ。

 はああぁぁーーーーーーっ。

 耳枷に犯され、頭がヘンになってる時も勝手にイッたけど、あれは平常時の感覚の状態をディルドーで補助してイッただけ。
 今度は超能力絡みで、私の体の感覚が、本当に気を失う程の超快感モードに入っている。
 本来その超快感は、超能力の発動を押し流す程の威力を持っているはずなのに、今回どんな理由かわかんないけどその発生がズレた。

 それが何回分かまとめて一気に来ちゃったのォォ!!

 溜めて溜めて溜めて溜めて溜めて溜めまくってから、おごそかにコリコリいじるオナニーみたく、興奮の予感に、震えるほど気持ちいい。

 はーーーーーっ。
 はーーーーーっ。
 はーーーーーっ。
 はーーーーーっ。

 呼吸するたびに生温かい甘い空気の塊が肺に出入りする。

 そこで初めて、膣の緊張が完全に解(ほぐ)れ、自分の筋肉でロックしていたディルドーが自由に動き出した。

 乾いた植木鉢に水を注いだ如く、膣内が淫汁でトロットロに満たされて、粘膜から完全に浮いた金属棒が、一番収まりたかった位置へと一気に滑る。

「あーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!」

 一撃で目の前が真っ白になる快感。

 なんの制約もない口で、喉から心地よく嬌声を発して、身体を弓なりに反らす。

 朦朧とするほどの快感の中で、びゅびゅびゅーーっと股から何か撒き散らす。

 股間に当てられてる革ベルトのせいで、股がびちゃびちゃになった。

「…………! ……さまっ……! !!……ですっ! ……!」

 蕩けた視界でちょろりと見上げると、ティアちゃんが必死の形相で私の口を押さえてる。

 なにすんのよぉ?

 下腹部の内側に力を入れると、ズロズロズロズロッ!!と、今度は超きもちいいポイポが内部を擦り上げる。

「あーーーーーッッ!!」
 また叫ぶ。

 はーーーーーっ!!
 ソコ、すっごいいイイ!!
 ぎゅうーんと握ると、ヌルリと進んで、奥にコツンと当たる。

 きゅうきゅうきゅう、こつんこつん、ごぶあ!

 らッ! そこ、スゴイ!! いい!!

 一時お預けにされてた大量の快感が、一気に私の身体に流し込まれる。

 すごい! 快感の閾値が下がりまくってて、ほんのちょっとでも動かすと、1回イクのに匹敵する気持ち良さ。

 こんなの続けたらバカになっちゃうかもしれないけど、えーと、今ってどういう状況だっけ?

 とにかくこの快感享受チャンスを放置して、正気に戻るなんてできない。

 1回膣内擦り上げるごとに肩も腕も腰も足も痺れてゾクゾク快感に満たされる。

 口からよだれこぼれちゃう。

「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」

「きもちいいよう!イクうう!!」

「ひめ…… もう…… はずかし…… ……ましょう!」

 またぁ!
 ちょっと、ティアちゃん邪魔ぁ!

「おっ! おっ! おおおおおおお! いく! いくいくいくいく!」

 喉の奥からストレートに叫んで、それはそれは気持ち良く昇りはじめる。

「ひ…………さまっ! はした…… ! だ…… です!!」
 またティアちゃんが口を押さえる。

「もがあ! てぃあちゃんやめてよう! いまあたしのおまんこぜっこうちょうで! スッゴイの来てんだからぁ!」

「そん……! はずか……! もう……!」

 また別の角度で内壁のスポットが擦り上げられる。

「きたきたきたきたきたーーーッ!!」

「ひめ……! もお知らな……! はした……すぎです!」
 真っ赤になってまだ何か言ってる。

「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「きもちいいよう! イクのおお!!」

「いくいくいくいく! おッま! ん! こぉ!! しまるうううう!!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「まだいくぅう!!」


 はーっ。

 はーっ。

 はーっ。


 こんなんじゃ終わらない。

 ふんッ!
 下腹部に力を入れる。

 きゅーーーっと膣を締めておいて、ディルドーを奥の奥に当てる。
 ひひひ、子宮口。
 ポルチオ(Portio)性感、イキまーす!

 金属ディルドーの先が、子宮口こじあけそうなほど、子宮頸部をノックする。

 深く。

 深ぁーく。

 深ぁあああぁぁぁーーく。

「奥いくゥ!!」

「おッま! ん! こぉ!! のおお! おくぅ!! ついてるうううう!!」

「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「まだいくぅう!!」

「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」

「もが!!」
「ちょ! てぃあちゃん! どいてよ!」
「むーーっ!!」
「ぷあっ!」

 このへんでティアちゃん、完全に諦めた。

「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーーっ!」

「あーーーーーーっ!」
「あーーーーーっ!」
「あーーーっ!」
「あーーっ」
「あーー」
「……」

「ああ……」

 さざ波のように揺れ戻しの痙攣が襲ってきた。
 ここまで好き勝手におまん○締めてイッたのって久しぶり。

「はーーーーーーーーーーー」

 満面の笑みを浮かべ、満天の星空を仰いで深呼吸する。
 仰向けだと、まだアームザックのままの腕が痛いけど。

「あーきもちよかった……」

 その視界にヌッと不機嫌そうな顔が割り込んで来た。
 松明のチラつく明りに照らされたその顔は…… ティアちゃんだ。

 えーと、結局? 今って、どういう状況なんだったっけ?

 少し視線を動かしたら、同じように不機嫌そうに覗き込む長老の顔も見えた。

 サーーーーーーッと蒼ざめる私。

 戦車隊革スーツの背中に、滝のような汗が浮く。

「え?」

 私を覗き込む2人の、松明に照らされた顔は、どうしようもなく汚らわしいものでも見るような、イヤーな表情だった。

「えーと…… あれ?」

 ガバァっとアームザックのまま起きる。

 さっき浮いた冷たい汗が、文字通り滝のように落ちて腰の内側に溜まる。

「……姫様、さすがに隠語連発は……もうおやめ下さい……」
 ティアちゃんが呆れたように言う。
「え……? 隠語って…… ひ!!!」

「定めとはいえ、あの乱れようは、どうかのう……」
「ひいいいいい?!」

 私は自分が何をしでかしたかようやく理解した。


 ティアちゃんを殺されたと思った私は、膣痙攣起こすほどおま○こ締めまくってディルドーを固定し、怒りに任せたパワーで尖塔を破壊し、城壁を破壊し、結局城を真っ二つにして、芝生に大穴を明け、ロッドシールを穴に落としたんだった。

 緊張が解れると同時に、その分のツケが全部襲って来て、好き放題乱れてイッたんだ。

 あまつさえ、その痴態を壇上で思いっ切り皆に公開……

 全頭マスクも自分でふっ飛ばしちゃって、顔モロ出しのまま、声を抑えることもなく、好き放題イッた私って……

「し、死なして!!!」

 見回すと尖塔と城壁の残骸の砂を片付けている兵士たちが一瞬手を止め、こっちを見てから、ポッと俯いて作業に戻った。

「い、いやああああああああ!! しなしてええええええ!!!」

「あー、姫、落ち着かれましたら、城内へ参りましょうぞ」
 あんだけ心配してくれてた長老すら、真剣に呆れ顔だ。

「おちついた! おちついたから! もう入る!」
 恥ずかしくて居たたまれなかった。
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