発狂

| | 目次 | 小説目次

「おはようございます、姫様」
 ロッドシール公に起こされた。
 久々に朝まで一気に眠った。
 喉枷が無いとこんなに楽なんだ。
「あ、おはようございます」
「楽にお休みになれましたか?」
「はあ、おかげさまで」
「ではマスクを戻しても宜しいですかな? 本日も訓練があります故」
「……仕方ないです。 ……そのかわり……」
「承知しておりますとも。『お世話』ですね?」
「はぁ。お願いします」
「では」
 私が不自由なアームザック拘束のままムクリと起き上がり、膝立ちになると、目の間にロッドシールのペニスが来た。
 中起ち程度のソレを口に含むと、ピクンと大きくなった。
「むっ、姫様、それ以上刺激すると、御喉に入りませんぞ」
 そうだった。
 ギンギンに勃起させちゃうと喉まで入らない。
 コイツの精液を舌でじっくり味わうのは御免だ。
 ただの栄養として摂取することに努めないと。
「んんまへん」
 まだ柔らかさの残るソレを、口をいっぱいに開け、うがいする瞬間にモノを喉に受け容れるような姿勢でズルリと飲み込んだ。

 ……

 ああ、戦車馬として調教されるあの一種のトランス状態でないと、やっぱり苦痛と惨めさが先に立つ。
 本当にコイツの精液で全身の蛋白質が置き換えられてしまいそうだ。
 事務的に、しかし効率よく喉を動かし、ロッドシールの精液を絞り取る。
 『搾り採ってやる!』って攻撃的に考えると、少し気分がラクかも。
 えいえい、もう少し出せよコノヤロウ。

「う。姫様、今度は後ろに。 あまり口でされますと、後ろの量が減りますぞ」
 ロッドシールが抜く。
「んぱっ。はい……」
 口の精液の残りを舐め取りながら、身体を台に乗せる。
 アームザックのベルトと股間のベルトを外され、ズルリとディルドーが抜かれた。
「おや、姫様、今日はおねだりはナシですかな?」
「い、言わないで下さい」
 ディルドーと入れ替わりに熱い肉棒が侵入してくる。
 アナルを擦られても昨日ほど気持ち良くはなく、やはり事務的に精液を給餌してもらうという状態だ。
「ん、うお、はっ、まあ、お約束、故、ちゃんと、お食事、差し上げます、ぞ、と。うっ」
 パンパンと私のお尻を突いて、ロッドシール公の方にもそれなりの苦労があるのだろうか、今朝は少してこずってから射精した。
 アナルディルドーとベルトが戻される。

 ロッドシールが去るとティアちゃんの出番だ。
「姫様、マスクとディルドーを戻させて頂きます」
「うん、もう諦めてっから、何でもやって。あ、そうそう、諦めてるのはひどい事されるのについてで、アレを諦めたわけじゃないからね。宜しくね、ティアちゃん」
「はい、ちゃんと心得ています」
「んじゃ、はい……」
 私は後ろ手アームザック拘束のままで顔をうんっと前に出した。
「姫様、今回はバイトブロックがあります」
「えー? あれって長期調教用じゃん? しばらく全頭マスクしっぱなしー? お肌荒れちゃうよ」
「毎日議場での公務もあるようですから、これはむしろ激しい運動時に口枷の金属筒で前歯を痛めないためでしょう」
「なるほど。んじゃ、あーん」
 口枷が通る穴の明いた、大きなゴムの塊を噛まされる。
 その上から全頭マスクを被らされ、ティアちゃんに容赦なく締め込まれた。
 私の視界は、再び細かい穴の明いた革経由の視界に制限された。
 そして口枷のハーネスを締め込まれ、顔全体が異物の塊にされたようになった。
 そして最後にあの精液漬けの柔らかい喉枷だ。
「オエエエエ!」
 ちょっと楽してると、すぐに慣れが戻っちゃって苦しい。
「クムッ…… ン……」
 少し収まった。

「では、参りましょう。今日はずっと戦車といっしょです」
 軽く頷き、戦車と壁の間を抜けて、中庭側へカツカツと移動した。
 ティアちゃんも私に続いて移動し、私を戦車のバーに固定した。
 そして私に手綱を付けると、自分は戦車に乗り、壁を操作してるのか天井から紐でも下がってるのか、とにかく何かをガシャンとやったら正面の戸が開いた。
 ピシッと鞭をもらい、ドッと踏み込んで中庭に出た。
 うわぁ、全頭マスクされてても、空気がきもちいいのがわかる。
 手綱さばきで外周トラックに入り、昨日と同じようにタッタとただ曳くだけでトラックを回る。

 淡々と走ってると、ついつい考え事をしてしまう。
 なんで私はこんなことやってんのか。
 惨めな一方で、貞操帯にピアスに革ブーツというアナムネ奴隷姫としての私の基本パーツを、さらに戦車隊の全身革拘束で増し締めされて、完全に馬扱いされてることに安堵と快感を感じてる。
 身体は動かせるのに、行動を単一機能に制限され、使役される快感。
 それが私のマゾ属性、すなわち自由剥奪されて王女の責任からの解放を得る、という部分を刺激する。
 自由を奪われてるから、煩わしい姫の立場を放棄してもいんんだ。
 馬にされちゃったんだから、しょうがないじゃん。
 みんなが頼りにしてるかもしれない私の超能力も、完全に封印されて、私は本当に非力な只のマゾっ子なんだもん。

 次第に起き抜けのぼやけた思考から、昨日のドロドロの思考にスイッチし始めた。
 運動の振動と足の動きでお尻のディルドーが擦れ、ゾクンとあの甘い快感がお尻から全身へと巡る。
 足がカクンと砕けそうになる。
 必死で走り続けると、昨日のあのトラック一周オナニー1回みたいな状況にだんだんとハマって来た。
「ンクッ! オムッ!」
 嚥下の音の上ずり方で、ティアちゃんにも私の様子って伝わってるかもしれない。

 朝、ティアちゃんに自分から念を押したばっかりなのに、ロッドシールの策略を打ち砕くなんて、もうどうでもいいと思ってる私。
 諦めてない、なんて大ウソ。
 このままなし崩しに戦車馬として生きてもいいよ。
 精液以外の美味しいもんをちょこっと食べさせてくれるって言われたら、もう全面降伏だ。
 だいたい、こんだけの酷い仕打ち、あたしみたいな女の子が耐えられるわけないじゃん。

 意識を次第に蝕まれながら、甘い甘い、ドロドロした霧の中を、戦車を曳いて、短調に走る。
 トラックを一周するたび、快感のピークが襲ってきて、喉枷を咽頭で絞り上げながら、緩めにイク。
 反動でブムッと鼻水が逆流して鼻の穴から飛び散ってる。


 3周、4周と回を重ねる毎に、雑念が削がれ、体力尽きるまで足だけを交互に動かし、その代償に快感を貪る、ただの肉の塊になってきた。
 本当の本当に調教されちゃう、って危機感はあるのに、転げ落ちるのが止められない。
 全身拘束、狭い視野、呼吸制限。
 これであと聴覚でも奪われようものなら、本当に堕ちる。

 ――ドグン!!――

 耳枷!!

 ホントにやる気だ!

 私を、二度と戻れないくらい、堕とす気だ!!!

 うーーーーーーーーッ!!

 膣が締まるぅぅ!!

 これで倒れ込んだら、自分の戦車に轢かれる!
 腰のパーツがそれを許さない構造になってるので、轢かれるというよりそのまま下半身が引き摺られてしまうのだろうけど。
 1・2歩、足が空を切ったあと、辛うじて元のペースを取り戻した。
 股間が敏感になってて、足がガクガクしちゃうけど、そんなにハイスピードではなかったのでそのまま走り続けた。

 勝手にペースが落ちてしまったが、ティアちゃんからは加速の鞭は無い。
 加速しろって言われても股間がガクガクしちゃって無理なので、そのままのペースでのろのろ走る。
 それでも頑張って2周くらいしたところで、ようやく手綱が引かれてストップした。

「ご苦労でした。議場で皆様がお待ちです」
 その場でティアちゃんは私を戦車の接続から外し、喉枷を抜き、開口枷のハーネスを外し、全頭マスクを脱がせてくれた。
 口に手を突っ込まれたので、噛んでるバイトブロックを舌で押し出した。
「うぺっ…… ハァハァ…… 疲れた……」
 まだ首から下はギチギチ革拘束のまま、アームザックもそのままだ。
 ティアちゃんが小さな櫛でベットリ張り付いた私の髪の毛を簡単に解かしてくれた。
 全身が火照っていて、まだ甘い淫夢の中にいるよう。
「姫様、まだ突っぱねるおつもりですか」
「ハアンッ!! あう…… なんかキモチイ揺れ戻し来ちゃった…… え? えと、……うん、もちろん……」
「さすがです。が、姫様のお身体が心配です」
「アハハ、それで死んだら、もうこんなことしなくて済むから、楽になるわ」
「ひ! 姫様! 死ぬなんて言ったらダメえッ! 死ぬなんて言わないでくださいッッ!!」
 急にティアちゃんが激昂したので驚いた。
「済みません! 私……!」
「ううん、あたしこそごめん。 頑張るから安心して」
「はい」
 戦車と口枷などはその場に残してティアちゃんと歩いて議場に向かった。


 着いてみると、前回と同じように皆とロッドシールが揃っていた。
 今日もなにか私に酷い辱めをする準備がしてあるのでは、と戦々恐々としていた。

「姫様、お言葉通り皆様にはゆるりとお休み頂き、たった今ここにお集まり頂いた次第。さて、戦車隊を体験されて、戦車隊の秘密と引き換えに自治を認める程の価値ありとお認め頂けましたかな?」
 ゴクリ、と皆が息を呑み、私の答えを待つ。
「やっと…… 戦隊統制の……秘密を……垣間見させて…… ウッ。……頂きました……」
「で、いかがですかな?」
「まだ…… わかりません……」
 皆は安堵の溜息をつき、ロッドシールは少し眉をピクリと動かし、笑顔の下に一瞬不満げな表情を見せた。
「なるほどなるほど。ま、まだ数日ですからな。では皆様、また明日に。 そうそう、今晩は大浴場ハマムでお一人にそれぞれ垢すりとオイルマッサージが付きますぞ」

 ち、ちぇーーーっ!
 みんなそんなイイことしてもらってんの?!
 お前もハマムで垢すりとオイルマッサージしてやるって言われたら、私、簡単にアナムネ売りそうなんですけど。

 ロッドシールが兵士に小箱を渡すと、兵士がそれをティアちゃんの所へ持って来た。
 無言でティアちゃんはそれを受け取り、私を促してまた裏庭に戻った。

 戦車の置いてある芝地に立つ。
 自分が調教される舞台だけど、議場の重い空気よりもこの芝地の空気の方がよっぽど気持ちいい。
 たとえ1分後に再び全頭マスクに押し込められるのだとしても。

「では、また訓練の続きです。マスク戻します」
「うん。いいよ」
「それと…… 申し上げにくいのですが、もう耳枷が完成したようで……」
 ティアちゃんがさっき受け取った小箱を見せた。
 ゾクゾクと背中に悪寒が走った。
「さ、先延ばししたって、い、いずれ、やられちゃうんでしょ? や、やっていいよ、もう」
「はい……」
 口にバイトブロックを入れたところで、ティアちゃんが小箱からメタリックでスパイラルな謎の部品を取り出し、私の右耳にねじりながら押し込んだ。
 ゾゾゾゾっとあり得ない深さまで勝手に差し込まれ、先端がゴムか綿になってるようで、奥に到達したとたん、鼓膜が圧迫され、完全に振動を奪われて、右耳が無音になった。
 片耳の音を奪われただけで、猛烈な恐怖に襲われた。

 本当にもうダメかも。

 急にボリボリッと物凄い音がして、ギリギリとバネのような音が頭蓋骨全体に響くと、ガチッと衝撃があり、耳の内側が痛くなった。
 すぐに痛みは消え、今度はジャッと金属を擦るような音がして、また静かになった。
 ティアちゃんの指先には小さな鍵が握られている。
 右の耳枷に鍵を差し込み、施錠して、鍵を抜いたんだ。
 型採り材は柔らかいので、外耳道の歪みや内部の膨らみに関係なく抜き取ることができるけど、金属製の耳枷として完成すると、その微妙な歪みや膨らみに、施錠で張り出した金属が引っ掛かり、枷として機能し、抜けなくなるんだ。

 左耳にも同じ耳枷が押し込まれる。
 入れる時は向きさえ合えば、少し緩いほど。
 でも鍵で施錠されると、ピクリとも動かせなくなり、抜くことが出来なくなった。

 静かな戸外に居るのに、シーンとした静寂の中にモワーンとノイズが聞こえる。
 これは多分体内ノイズ。
 心臓の音や、血管の血流の音で構成されたノイズ。
 水泳の時、耳に水が入った状態でプールの底にいると、こんな風に聞こえる。
 あの、生き埋めの儀式の時にも経験したっけ。

 ティアちゃんがバイトブロックを差し出す。
 視界が涙で歪む。
 あ、あれ?
 私、なんで泣いてんの?

 恐怖の涙だった。

 もう充分過ぎるほど慣れたはずの顔面拘束なのに、この無音の、現世から隔絶されてしまったような空間の中では、表情の自由を奪われることが死ぬほど怖かった。
 今みたいな「姫」という立場になってから、多分初めて感じた、猛烈な孤独感と隔絶感を伴う、絶対絶命の恐怖。
 これまでは、例えばお財布落としてもポケットのどこかにまだ小銭があるような、そんな逃げ道の存在を感じてた。
 事実、過去のどんな苛烈な調教でも私の自我は奪われなかった。
 でも、今回はもうダメかもしれない。

 私は真剣に自分が不可逆的な調教を施されてしまう覚悟をした。

 ポロポロ涙をこぼしながらバイトブロックを自主的に口に含むと、全頭マスクが近づいて来た。
 真剣に怖い。
 どっどっどっと心臓の音が頭に籠もる。
 慣れたはずの全頭マスクが、まるで死をもたらす刑の執行にも感じる。
 すっぽりと完全に被せられると、制限された網目状の視界の中に息苦しい呼吸音が響く。

 ティアちゃんの手で全頭マスクの編み上げが締め込まれるほどに、マスクに明いた僅か数個の穴から私の自我がニュルニュルと搾り出されてしまうようだ。

 顔全体がギシギシと締め上げられる。
 なんで?
 なんでこんなに怖いのォ?!

 いやだよ、こんな風に耳枷ごと締め込まれたら、どんどん外せない状況にすすんでしまうよぅ。

 こんな些細な拘束の重ね合わせですら、今までのような余裕はゼロだ。
 今まで私の気丈さを支えていた、脳内のどこかの回路が、心臓以外のどこかのエンジンが、凍りついて停止してしまう気がする。

 バイトブロック越しにロッドシールの柔らかいディルドーが喉に侵入してくる。
「ゴゲア!!」
 最初はどうしてもむせて酷い喉のノイズが出る。
 強引に押し込まれたそのディルドーもギチギチに絞め込まれ、やっとマスクを装着し終えた。

 聴覚を奪われるなんて、あの生き埋めでもさんざん味合わされたのに、何が違うんだろう。
 動きのありなしだろうか。
 生き埋めの時はただ埋まっていれば良かったから?
 今は縦横無尽に移動しなければいけないから?

 そしてついに……

 自分の心音のこもる全頭マスクの中、
 まるでブレーカーが落ちるように、
 急にストンと自我が喪失した。

「コフッ……」

 軽くむせて、心が消えた。

 心がどこかに行っちゃって、視界から入る情報にただロボットのように反応する自分を、傍に立ってなすすべも無く眺めているような自分が居るような気分。

 狭い狭い網目状の視界に映るのは、さっき『気持ちいい』って思った芝地。
 しかしもうそこは余所余所しいただ緑色をした景色の一部になってしまった。

 ティアちゃんが抱きつくようにして私の身体の位置を押し戻し、戦車と接続した。
 ベルトが絞り込まれ、接続がタイトに調整された。

 ピシリと鞭をもらい、走り始める。

 流れる景色に、さっきまでのような想い入れは無く、ただロボットの目に映る映像のように、その景色を受け容れ、そして曲がり、そして走り続ける。
 所作は既に身体が覚えているので、私の役目は鞭の命令通り動く、ただの動力源だ。
 会話もなく、思考もなく、ただお尻の皮膚で感じる鞭の合図と、轡(くつわ)を引かれて進行方向を変えることだけ。

 ドッドッドッと激しい心音の籠る他、無音の世界。

 思考は止まり、私の逃げ場は完全に塞がれ、ロッドシールへの抵抗も、起死回生の作戦も、なにもかもが停止した。


 また鞭の命令をもらい、疲労の出始めた身体を動かしてしばらくトラックを走り続ける。
 やがて厩への道を辿り、戦車をバックで車庫入れする。
 接続が外され、私はそのままの姿でいつもの寝床に倒された。

 全ての、時間認識が、完全に、停止した。



 全くそのままの姿で転がされ、放置。
 要求することも、抗うことも出来ず、ただ疲れた身体を横たえる。

 やがてロッドシールが来て、蔑んだ笑い顔とともに何か言ったが、何も聞こえず、内容は分からなかった。
 そしてロッドシールは少し真顔になると、ティアちゃんに私の口とお尻のディルドーを抜き取らせ、私を跪かせて先ずは口に突っ込んで来た。
 全頭マスクのせいでロッドシールからは私の光を失った瞳は見えないのだろうが、きっと全体的な雰囲気から私の心がもう砕けてしまったことが分かるのだろう。
 ロッドシールのペニスがいつもより熱い……
 私を完全服従させたことに興奮しているのだろうか、この変態め。
 私も、堕ち切ったという事実を、自分の心に演技だと言い聞かせ、まだ余裕のあるつもりで、従順に舌を遣ってみた。
 すると、だんだんその気になってゾクゾクして来た。
 堕ちて楽になろうぜ、という魔の誘いが、もう堕ちたつもりの私の心を、更に黒く塗り込めて行く。
 僅かの心の余裕もどんどん失われてゆく。

 バイトブロックの穴を通過して私の喉を突くペニスを、舌の背(上面)で捉え、尿道と思しき部分を締めつける。
 ロッドシールの反応を声で聞き取れないのがつまらないが、小刻みに震えてベニスが硬さを増すので、まんざらでも無いのだろう。

 ただ最初にロッドシール自ら言っていた通り、硬くなりすぎるとこっちの喉が保たない。
 わざとペニスの先端をゴクゴク唾で呑む嚥下動作を繰り返したら、ロッドシールの足が突っ張ったのか、口ごとグイと引き上げられ、喉の奥が熱くなった。
 続けて2度3度射精する。
 しばらくロッドシールの腰が止まった

 少しだけお腹に温かい物が溜まった気がする。
 もう少し欲しいな、と思ったらすぐに抜かれてしまった。
 思わず、舌が残念そうにペニスの先を追いかける。
 この動作はいままでしたことが無かった。
 それに気付いて、ロッドシールはニヤニヤと征服者の笑を浮かべ、私の心の中の様子を確認したようだった。

 ロッドシールが何か言ってる……

 するとティアちゃんがまたあの柔らかいディルドーを私の口へ戻す。
 再び喉が柔軟な偽ペニスでみちみちに犯される。
 舌でさっきの精液の残渣を味わう暇もない。

 なるほど、『残念ですがお尻の分も残しませんと、姫様』だったのかな、さっきの言葉は。


 ボーッと思考を反芻していたら、ディルドー抜かれたまま放置されてたお尻が、突然気持ち良くなった。
「ンフッ!!」
 キモチイイ吐息が鼻から噴き出る。
「ン…… ンン……」
 他に楽しみがなーーーんにも無いので、この給餌を兼ねたアナルセックスはたまらなく嬉しい。
 ティアちゃんの言葉通りだとすれば、ちゃんとロッドシールの生ちんぽでしてもらえるのって特別待遇らしいから、ありがたく味合わないとソンだよね。
 でもこっちがイクとこまではとてもしてもらえない。
 だからせめて、精液を一滴でも多く搾んないとね。

 ペニスの動きに合わせ、自ら排便するように緩めると、そのアナルの緩みに乗じてスピードを速く擦られる。
 そして突っ込む動作に合わせて今度はお尻をキューーッと締める。
 すると私の腰を掴むロッドシーツの手がブルッと震えた。
 更にパンパンと2回突かれてから、ロッドシールの腰の動きが止まった。
 S字結腸のあたりが熱い。
 もちろん、温度なんてわかんないけど、何かを注がれた違和感ははっきりわかる。

 お尻にディルドーが戻された。
 せっかくの精液をこぼさないように、大事に大事に吸収しよう。
 結構嬉しかったので、跪いたまま、全頭マスクにアームザック姿で、ロッドーシールに頭を下げた。

 そのままどうっと横倒しに倒れ、泥のように眠った。


 翌朝も、起きて、放心したままロッドシールのペニスを前後ろに突っ込まれて食事。

 食事ごとに、首輪のネジはちゃんと巻いてくれる。

 議場に出るかと思いきや、そのまま戦車を引いて訓練。

 思考は濁り切って、目の前にある事象にしか集中できなくなってきた。

 ジワジワと脳を蝕む全体的な快感に、無意識のうちに流されているようだった。

 それがある閾値を越えた瞬間、ぐにょりと視界が歪み、思考が崩壊した。

 そんなことない。

 だいじょうぶ。

 まだ、きもち しっかり してる、 あたし。

 とにかく きもちいいことだけを せんたくてきに おこなわないとね。
 できること かぎられてるんだから。
 せんたくてきに……は、むりか。

 せんしゃ……
 そうだ。
 いまは せんしゃ だった。

 せんしゃはきもちいい。
 はしる そうかいかんと、おまんこのなかとおしりのあなをかきまわされるのきもちいい。
 にげられない くろい ふくろのなかに、ずっとつめこまれたままなのが、よくわかるのがきもちいい。
 あたし、ずっとせんしゃたいのくろいかわのふく、きせられた ままだもん。
 おひめさまでも、おんなのこでも、にんげんでもない、せんしゃの どうりょくげんの、うま。

 むち、きたぁぁぁ。
 はしる。
 はしる。
 はしる。
 え?こっちへまがるの?

 くつわがひかれて、げんそく。
 このスピードでいいの?
 ねぇ、ずっとせんしゃうまやってて、ふとももだけふとくなるってこと、ないよね? それ、やだよ。

 ずっとずっと うまの ちょうきょう。

 なんじかんも はしりまわる。

 やがて、くちかせがはずされ、みずをのまされた。
 さすがに、すいぶんは、ほきゅうしないとね。
 また おえって くちかせもどされた。

 ごぜんちゅう、おわり?

 くさはらのうえで、すこしきゅうけい。

 たいようがあつい。

 しばらくやすんだら、ごごのちょうきょう、さいかい。

 うらにわ から でて、しゃめんに いわや でこぼこがあるところをはしる。

 すでになんかいかやってるから、けっこううまいよ、あたし。

 のぼりがきつーい。

 なんども なんども やらされる。

 はあ、はあ、はぁ。

 じっさいには はあはあ いえない。

 のどまで やわらかい かせで おかされてるから。

 はげしい はなこきゅう。

 じぶんのはげしい はないきの おとと、バクバクいう しんぞうの おとが、みみかせで ふさがれた のうみそに、こもる。


 くだりは、すぴーど ですぎに ちゅうい。

 うっかりすると じぶんのせんしゃに ひかれちゃう。

 はぁ、はぁ、はぁ。

 ずうっと はげしい はなこきゅう。

 なんども なんども やらされる。

 なんども なんども やらされる。

 もう、ゆうがた?

 やっとおわりだ。

 うまやにもどってまたろっどしーるのせいえきでしょくじ。

 へへへ、せいえき、うれしいね。

 ねじまいてもらう。

 ぶったおれて、ねる。

 このくりかえし。


 これがたんたんと、3にちくらいつづいた。
小説目次 | 目次 | |
 





powered by HTML DWARF