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  お茶会  





§§ お茶会 §§

 スタスタ歩くユックさんの後を裸足でぺたぺたついて行く。
 私は木綿の薄いワンピース1枚着ただけで、下は裸に手枷足枷首輪という格好だ。
 髪を生乾きでまとめられてしまったので、頭が少し重い。
 拭き切れなかった水分が一筋、こめかみから垂れた。

「ホントはぁー、リードで引けって言われてるんですけどォ、なしでイイっスよね?」
「はぁ……」
 普通に服着せても犬みたいに扱えって言われてるのかしら。

 廊下の突き当たりの豪華な扉の前についた。
 ユックさんが扉を開くと、大きな円卓のあるこぢんまりした部屋だった。
 確かにこの洋館の大きさからすると巨大なホールは無理だろう。
 しかしイメージとしてホールを想像していたので、少し拍子抜けした。

 わりと最近作られたような感じのする、小さいけれど豪華な部屋の円卓の奥には、おじさまが座っていた。
「掛けなさい」
「あ、はい……」
 一体全体どう振舞えば良いのか苦慮しながら、おじさまの向かいの席に座る。
 私の右90°の席にはニルさんが座っていた。

「こちらでは長テーブルが基本なのだそうだけれど、アナムネでは円卓が基本だからね。大きなものを探すのに苦労したよ」
「はぁ……」
「どうだい? 素直になれそうかね?」
「えーと、あの…… 少しは……」
「そうかい。それは良いね。んー、ちょっと脱いで裸になりなさい」
「エッ!! ……はい……」

 ガタッと椅子を引いて立ち上がり、ワンピースの背中に手をやって、ボタンを外す。
 胸を押さえながら肩を抜き、ワンピースをパサッと床に落とした。
 不思議と羞恥心はおこらなかった。
「手をどけて」
「はい……」
 いまさら裸でいることにあまり疑問を感じなくなっているので、羞恥がなければ抵抗は少ない。
 むしろおじさまのことをお医者さまか何かだと思うように脳内で置き換えていた。

「んー。ずいぶん良い感じだね。毛はまだなんだね」
「申し訳ありません。まだ残ったままです。この次の段階で取る予定です」
 ニルさんが弁解する。
 私は羞恥で真っ赤になった。
「良いよ、良いよ。ではこれ、入れてみなさい」
「はい」
 とにかくおじさまを信用させたい一心で、躊躇無く返事をした。
 奥のドアからユックさんが現れ、おじさまが手にしたディルドウを受け取り、私のところまで持って来た。
 私は椅子から立ち上がる。
「がんばって、姫様」
 ユックさんにしては低めの小さな声で言ってから、ローションのボトルとともに私に渡した。
「あの、椅子を汚しそうなんですが……」
「かまわないよ。そうだね、ユック、タオルを」
「はーい」
 椅子にタオルを敷いてもらった。

 私はローションのボトルを開け、手に少し絞り出すと、まずお尻の穴に塗り込んだ。
 再びローションを指先に取り、お尻の奥までよく塗り込んだ。
 そしてディルドーにもローションを塗りまぶし、ボトルを閉めてディルドーを握った。
 先端をお尻の穴に当てようとしたら、あちこち外れて、お尻の谷間に点々とローションの跡が残って冷たい。
 やっとお尻の穴を探り当て、ゆっくりとねじ込んだ。
 このディルドーは、さっきまで膨らまされていた風船から比べるとかなり細いので、苦もなく先端を呑み込んだ。

 調子にのってグッと押すと少し痛い。
 やはり筋肉は広げないと通らないらしい。
 教わった通りうんち出すようにいきむ。
 すると一瞬押し出されて戻って来るが、それを抑え込むように押し込むと、抵抗も痛みもなくズルッといきなり全部入った。
 ビカビカッと光線を当てられたような快感の痺れがある。
「はあッ……!」
 絞り出すように呻く。

 ディルドーの幅広の底板がお尻の穴に密着するほど押し込むと、少しくびれていた部分がヌルンと収まり、抜け落ちなくなった。
「い、入れました」
 おじさまの凝視する中で、言われるまま排泄の穴に異物を挿入したのが恥ずかしくて、全身が染まるほど真っ赤になった。
「座りなさい」
 裸のまま、タオルを敷いた椅子に座る。
「あうっ!」
 普通に座ったらお尻の中が突き上げられて、すごい衝撃があった。

「どうだい。私の言うことが素直に聞けそうかい」
「は、はい。もうなんでもできます」
「では、それ使って良いから、ここでイッて見せてごらん」
「でっ、できません! そんなこと!」
 エラそうに言ったことを一瞬で否定してしまった。
「あ……!」
 おじさまはしょうがないという表情をして肩をすくめた。
「はは、言わなくてもわかるね。それでは駄目なんだよ」
「はい……」
 思い切り落ち込んだ。

「失礼しまぁす」
 ユックさんがワゴンを押して入って来た。
 珍しくユックさんが言葉少なくお菓子のお皿とお茶を配り始めた。
 一番に私の所へ置く。
「えっ? いいんですか?」
「なーに言ってるんですか。位は姫様がいちばんに決まってるでしょー? 身分は奴隷だけどー? フフ」
「ああ…… はい……」
 こういう時のユックさんて、なんかやーな感じ。

 次におじさま、次にニルさん、最後に自分の席に置いてワゴンを下げに行き、すぐに戻って来た。
「まあ、なんだね、忙中閑だっけね。質素なお茶会だけど、おやつたべようよ。あ、そうそう、ジュリアはまずクッキー1枚だけだよ?」
「はぁ……」
「あたしたちも同席失礼しまーす。 いっただッきまーす!」
 おじさまも食べはじめた。

 なんだかまともなおやつ過ぎて怖い。
 言われた通りにクッキー1枚だけをかじった。
 舌の上でふわっと崩れて、卵と牛乳の風味が口いっぱいに広がった。
「おいしー!」
「地元で有名な店だからね」
「紅茶もいただいていいですか」
「うん、1口だけにしておきなさい」
「はい……」
 ミルクティーが好きなので、置いてあったミルクを入れ、砂糖も少し入れた。
 いい香り。
 でも歯を磨いてないので最初は口の中の酸っぱさが不快だった。
 一口だけ飲む。
「ホッ……」
 思わず安堵のため息が出てしまった。

「ユック、支度を」
「はあーい!」
 ユックさんが犬の餌皿を2つもってこっちへ来る。
 いやーな予感がした。
「姫様ーぁ、そろそろ姫様の性癖の確認をしないとダメなんでーぇ、ちょっと協力してくださいねー!」
「はぁ……」
「今、気分は……?」
「やなかんじです」
「そーじゃなくて! エッチな気分はぁ?」
「あんまり。ていうか全然ですね」
「じゃぁちょっと失礼しまーッす!」
 私のクッキーの残りをカランカランと餌皿に入れ、紅茶の残りをもう一つの餌皿にジャバッとあけた。
「ひどーい!」
「姫様、続きはこの場で犬みたいに召し上がってくださいー!」
「なっ!」
「まず、ドキドキしません? みんなの前で犬の真似しろって言われることに」

 ―― ドキドキドキドキ ――

「し、しません!」
「うそばっかぁ」
「そっ、そんな……」
「命令されるのが気持ち良くなってませんー?」

 ―― ドキドキドキドキ ――

「そ、そんなことありません!」
「……まあいいや、これ、床で食べてくださーい」

 ―― ドキドキドキドキ ――

 へんだよ、私……
 強制的に犬のカッコさせられている時は、義務感のようなものが先に立ってすごく嫌だったのに、今は自分で命令に従うことにドキドキしちゃってる。
 ほっぺたが熱くて、頭がボーッとする。

「あ……!」
 垂れた!
 お股からドロリとなんか垂れた!

「姫様、はやくゥ!」
「あ、はい……」
 ユックさんはおじさまから見えるように円卓から少し離れた所に餌皿2つを置いた。
 裸のままそこへ行き、お尻や性器をおじさまに見られるのは嫌だったので、いったんおじさまの方を向いてから四つん這いになった。
 手足を拘束されていないので、顔を皿に近づける動作は簡単で楽だった。
 目の前にさっき食べた超おいしいクッキーがある。
 目を伏せて口と舌を伸ばし、コロコロと逃げるクッキーを押さえるようにして前歯でかじった。

 不思議……
 自分が服従する姿が、まるで撮影されたビデオを見るようにリアルタイムで自分の脳裏に浮かぶ。
 素っ裸に首輪手枷足枷だけを嵌められ、犬の姿で物を食べる女の子。
 自分がニルさんかユックさんにでもなって、私を見下ろしている気分。
 そんな女の子の姿にゾクゾクする一方、その女の子が私自身なんだとはっきり認識できてしまう。

「うーーっ!」

 口にクッキーを頬張ったまま、アソコがきゅーんとせつなくなった。
 同時に、またドロリドロリと溢れてきた。
「ニルちゃん、ニルちゃん」
 ユックさんが呼ぶと、ニルさんが席を立って私の後ろへ来た。
「すごい…… 姫様すごい…… ああああいじりたーい、舐めてあげたーい」
「よかったねー! あたしたちお役にたってー!」
「うん」
 私は赤面して融けてしまいそうだった。
 でも二人の会話が、恥ずかしくも心地よく私の耳に響いていた。
 私の中の、何かが目覚めてしまった。

 見られてる……
 犬のカッコでクッキーを食べてる姿を見られてる……

 そのままズズズと紅茶をすする。
 人間には犬と同じ舌使いはできないので、下向きだと舌だけではうまく飲めない。
 仕方ないので、口をつけるようにしてすすり取る。

 再び下腹部がキューッとひきつけたら、お尻のディルドーがヌルンと抜けて、ゴトンと落ちた。
「ああっ!」
「そのままで良いよ。うん、もう立ちなさい」
 私は食べるのをやめ、無言で立ち上がった。

「すこしだけ目覚めたみたいだね。うんうん、つづき、がんばってね」
「…… ……ご、 ……ごちそうさまでした……」
 背中を向けて隣室に消えるおじさまに軽く会釈した。

「姫様、はい」
 ニルさんにワンピースを渡され、いまさらとは思ったけど、手を通したた。
 そのままニルさんに連れられ、部屋を出て、あの暗い調教部屋に戻った。




§§ 貞操帯 §§

「姫様、御苦労様でした」
「はい……」
「1ステップ進んだので、こんどはこれです。こっち来て下さい」
 部屋の隅のガラスケースの前へ連れて行かれた。
「これ、知ってます?」
「……いえ…… なんか見たことあるような気はするんですが……」
「あ、それきっとアナムネの記憶です。でも変ですね、これは王宮の封印された資料庫にあったもので、姫様でもご存じないはずですけど」
「小さい時、間違って忍び込んで、見てしまったような気がします」
「あ、なるほど」
 ガラスケースに近づいて見る。



 やっぱり、確かに見たことある……
 確かに……
 確かに……

 急にバーーッと脳内が真っ白になった気がして、気分が悪くなった。
「ウーーーッ! オゲッ! オエッ!」
 まずい、せっかくの紅茶とクッキーを吐きそうだ。

「ひ! 姫様!? 大変!」
 ぐるぐると頭が回って、支えられながらコンクリートの床に崩れた。

「姫様! 姫様ぁ!」
 ニルさんの必死の叫びが遠くに聞こえる。

 うーーー、ギモヂワルイ。

 ……
 ……

 しばらく休んだら、すこしだけ回復してきた。
 暖かくて柔らかい枕。
「……!」
 目を開けたら、正面に見下ろすニルさんの顔。
「あ、だいじょうぶですか? ご気分は?」
 グッと頭を起こすと、ニルさんにひざ枕されていた。
 ニルさんはオーバーニー(膝上丈)のエナメルブーツを履いているから、ひざ枕というより、ふともも枕だ。

 自分ではっきりと記憶の一部が戻ったことがわかる。
 王宮でこのガラスケースを見たこと。
 絽以と逃げたこと。
 私達だけ何かに押し込まれ、そのあとの記憶が途切れていること。
 ここにある金の檻のことは知らない。

 おおざっぱに思い出した。

 でも人の顔や、全体の景色なんかはまだまだ不鮮明だけど。

「あたし…… 思い出しました…… 少し……」
「あ、そうですか? すごい! じゃ、その貞操帯のことも思い出しました?」
「はい、思い出しましたけど、子供のころに見たので、何に使うかなんて……」
「そうですか。ではちょうどいいチャンスですから解説しましょうか」
「あ、はい」
「姫様、立てますか?」
「大丈夫です」
 まだ足が少しガクガクするけど平気だ。

「まず、この檻ですね。歴代の狂った王女に使われた檻そのものの実物です。最終的に、姫様はこの檻の中で一生暮らすことになります」
「なんですって!」
「性欲が亢進した王女は、暴れて手がつけられなかったそうです。黄金の拘束具で自由を奪われ、鳥籠を取り付けられて、この中に固定されるんです。腐って朽ちてしまったらしく、今は椅子が入ってませんが、姫様が入るまでにはちゃんと椅子も準備させますから」
「い、いやです! そんなの!」
「でも、その狂った王女たちは喜んで入ったそうですよ?」
「そんな! なんで?!」
「好きだから…… じゃないでしょうか。 ほら……」
 突然、ニルさんが私の股間を指さす。
 興奮で全く気づかなかったが、そこは恥ずかしいほどドロドロに濡れていた。
「いやぁ! うそです! こんなこと!」
 ニルさんはそれには答えず、私のことをチラッと見て続けた。

「あれが貞操帯本体です」
 美しい細工を施され、宝石のちりばめられた黄金のパンツ。
 それはパンツというよりT字型のベルトで、前は少し幅広になり、後ろは棒状になっていた。
 私の記憶の通りだ。
「サイズは多分そのままぴったり合うはずです。歴代王女の体型はなぜかほとんど一致するのです。ちゃんと微調整できる部分もありますので、装着のときはきっちり合わせて差し上げます。嵌めたら一生脱がないものですから」
「に、二度と外せないんですか!?」
「無解錠という意味ではありません。局部を清めたり、装着のつけ外しをしたりしなくてはなりませんから、ちゃんと外れます。でもそういったメンテナンスは月に1回くらいですから、普段はトイレでもお風呂でも着けっ放しです」
「そんな……」
「もちろん、装着したら姫様自身は性器には一切触れられません。力を制御するために、ずっと快感に浸かりっぱなしですが、勝手にイクのは許されません。コメドゥ様が色々な仕事をおいいつけになりますから、それを実行して、お許しが出たらイクことができます」
「もうやめてください」
「だめですよ、大事なことですから。隣に並んでいる棒が姫様の体に入り、固定されます。姫様はおしっこやうんちも全部貞操帯経由ですることになります。月経の血もちゃんと出ますからご安心を。それから、首輪と手枷、足枷ですね。儀式の最後に今の革のものと交換します。あの大きな輪は、ブーツの上から嵌めるためのものです」
「ブーツ……」
「これは昔のものは革がボロボロになっていましたので、こちらの世界のものを新しく買いました。あと、あれがピアスですね」
「ああ、あの耳飾りですね。小さいのが1つ足りないのをすごく残念に思った記憶があります」
「アハハ、姫様、飾るのは耳じゃないですよ。大きいの2つは乳首用、小さいの1つはクリトリス用です」
「ち! 乳首って!? まさか乳首には穴を明けないですよね?」
「ピアスって穴を明けないと着けられませんよ? そのくらいご存じですよね。あとクリトリスもです」
「ひいいいいいっ!! そんな! いやあああ!!」
「姫様の宿命ですから……」
「だってお母さんはそんなピアスなんて!」
「仕方ないですよ。フローレンス王妃とは状況が違いますもの。狂った王女さえ出なければこんな貞操帯やピアスの出番は無いのです。実際ここ数代は安定して力の世襲が行われていたので、貞操帯は資料庫で埃をかぶっていたのです。でもそれをコメドゥ様が見つけて、狂っていない王女を貞操帯奴隷に仕立てて操ろうと思いついたわけです。ジュリア姫様は狂ってないのに、無理矢理狂った王女と同じ状態に仕立て上げられちゃうんです」
「いやあああ!!」
「でもそれでアナムネに戻れるし、国民の役に立つんですよ?」
「うう……」
「最後のが、さきほど言った鳥籠です。もちろん、本当に鳥を入れるわけではありません。あの中に姫様の頭を押し込み、口を固定して喋れなくします。あれはかなり苦しいらしいですね」
「もうやめててえぇぇぇ!!」
 私は話をききながら、もうぐちゃぐちゃに濡れていた。



§§ 拘束漬け §§


「姫様、すこしマゾっけが出て来たようですから、しばらく拘束漬けにさせてもらいますね」
「ひいい、何するんですか」
「今までの犬より楽ですよ。ただここでボーッとしてればいいんです。少し人間らしい生活ができますよ」
 ニルさんはガラスケースのすぐ近くにあるシャワースペースまで私を退がらせ、そのすぐ近くの床に埋め込まれた金具に長さ2mほどの鎖を繋ぎ、それを私の首輪に繋いだ。
 そして足枷同士を30cmほどの鎖で繋ぎ、手枷同士も20cmほどの鎖で繋いだ。
 今回は前で繋がれたので、ある程度手が自由になる。

「シャワーは使い方わかります?」
「ええ、ユックさんに洗ってもらった時に見ました」
「こっちに普通の水栓もありますから、自由に使って下さい」
「こっちのカゴにタオル5組と歯ブラシ、セッケンが入ってます。それと、これはカロリー食品です。おなかがすいたら勝手に食べて結構です。ペットボトルの水もありますよ。まぁ、ここでは水道水の方が山麓の水なのでおいしいかもしれませんけど」
「そんなに自由でいいんですか?」
「えー? 姫様自由じゃないですよ、フフ? がんばってくださいね。あ、それとそろそろ脱毛しないといけませんね」

 ニルさんはドロドロするジェルを私の股と腋に、丁寧に塗った。
「これ、一発で永久脱毛できますから。その代わりすごく強いので、このタイマーが鳴ったら、必ず洗い流してこの乳液をつけておいて下さいね。でないと真っ赤に腫れちゃいますよ」
「はい」
「ウフフ、もう水着の時の処理を気にしなくて良くなりますよね。あ、姫様はずっと貞操帯でしたっけ…… でも貞操帯の上から水着を着て、檻の中で楽しむこともできますから…… では」
 ―― ガチャーン ――
 戸が閉まる音がいつもより響いたような気がした。

 鎖をチャリチャリ言わせながら与えられたものを確認する。
 やったやった、歯ブラシだ。
 すぐさま歯を磨く。
 手が繋がってるけど、鎖が長めなのでかなり色々なことができそうだ。

 さっき見たシャワー水栓の横に、同じような蓋があり、開けると折り畳み式の蛇口が入っていたので引き起こす。
 コップに水を入れ、ぐちゅぐちゅ濯いで、シャワースペースにベッと出す。
 ハーーーーッ…… スッキリした。

 ピコピコとタイマーが鳴ったのでシャワースペースに入り、シャワーを出す。
 腋とお股をよく流すと、腋はもちろん何も取れないけど、お股からはゴッソリ毛が抜けて流れていった。
 黒い陰りがツルツルの肌色になり、合わせ目の割れ目が赤ちゃんのようで恥ずかしい。
 この際だから暗い電球の明かりでお尻近くまでよくチェックして、間抜けに何本か残ったりしてないか入念に調べた。
 じっと見ると、自分のモノながらなんとなくきれいにも見える。
 中心の肉のビラビラは醜怪な気もするけど、その周りの肌色の曲線を描く肉の盛り上がりなどは美しいとすら思った。

 確認が終わってから、石鹸ももらってたのでよく洗う。
 やはり少し肌がピリピリする。
 さっきおじさまの前でディルドーを突っ込んだ時にベタベタになったままのお尻も洗い流す。

 ギョ!
 毛が流しに詰まった。
 慌ててティッシュを探すけど、さすがにそれはなかった。
 仕方ないので縮れ毛の毛玉を指で取って、グニグニ丸めて玉にして、邪魔にならない所に置き、排水口をシャワーでよく流した。

 わーい、体もサッパリしたーー!

 体が軽くなった気がして急に眠気が出て来た。
 忘れて眠り込まないうちに乳液をアソコ周りと腋につけ、タオルを1枚取り出してコンクリートに敷き、その上に横になった。
 手足の枷や首輪が気にならないといえばウソだけど、犬の姿で寝るより全然楽だ。
 そのうち体が暖かくなってきて、深い眠りに落ちた。



§§ 拘束の快感 §§

 目が覚めると硬いコンクリートに敷いたタオルの上のままだった。

 首輪の鎖はガラスケース近くまで届くので、いにしえの貞操帯とそのオプションをつぶさに見る。

 これを……
 これを嵌められたら、私は終わりなんだ。

 あの貞操帯とそのオプションでずっと快感漬けにされ、力を使えないまま檻に閉じ込められて一生暮らすんだ。
 たとえ檻での暮らしは許してもらって、自分の家に帰れたとしても、貞操帯のカギを握られている限り私は檻の中も同然なんだ。
『アレ一式を身に着けたら、あとは自由にしてていいんですもん。学校にだって行けますよー? アレ着けたままですけど』
 あの日、ユックさんが言っていたことが頭に蘇る。

 ブシュっとアソコが蜜を吐いた。
 うそ!
 知らない!
 私はそんなこと望んでない!
 お父さんから与えられた使命を遂行して、アナムネを救うんだ。
 閉じ込められちゃったら、本当にそこで終わりなんだよ?

 前で手枷を繋がれているので、自由におま○こに触れちゃう……
 知らず知らずに手が伸びて、特にどこを刺激するでもなくクチュクチュと触り散らす。

 今度は涙滴型のピアスが目に入った。
 あれ、ピアスだったんだ……
 しかも、乳首用だなんて……
 この乳首に穴を明けて、あんな重りを……
 取り付けられたらどうなっちゃうんだろう。

 指で乳首を左右からつまみ、ピアスのまねごとをして引っ張ってみる。
 ふぁああッ!
 きもちいいよう!
 乳首がこんなにきもちいいなんて!
 お○んこの気持ち良さとはまた別味の、切なさを加速するような甘い刺激。

「ふうッ……」
「ふうッ……」
「ふうッ……!!」
 すごい興奮に押し流されそう。

 そのすぐそばに、首輪というか、首枷。
 ガラスケースの中の首枷は、本当に美しい細工が施されていて、そのまま見れば美術工芸品の首飾りにも見えるが、嵌められた人間を拘束するための容赦ない形をした留め金が付いていて、機能でみれば首輪だとはっきりわかる形をしている。
 手枷や足枷もそうだ。

 一式を取り付けられた自分を想像した。
 一生涯、私の体の一部となる首輪や手枷足枷。
 そのままの姿で王国の式典にでも引っ張り出されそうなほどの美しい装飾。
 宝石をちりばめた涙滴型の重りをピアスされた、乳首とクリトリス。
 クリトリスのピアスは貞操帯とどう組合わさるのだろう。

 自分で想像したその姿に、さっきクッキーを食べさせられた時のイメージが重なり、そんな自分をかわいいとさえ思ってしまった。

 きゅううううん!

 せつなく、甘い感情が沸き起こる。
 自由を奪われ、えっちバカに貶められて、檻で飼われる私。
 くっだらない国民のことなんか忘れて、ただ言われるままに力を使い、ご褒美にイカせてもらうだけの生活。
 狂ってもいないのに狂った王女として性奴扱いされ、操られる屈辱と絶望。

 うううううう。
 楽しそう!!

 こんなところで突っ張ってないで、さっさと堕ちちゃえば楽なのに。
 考えるのを止めるだけで、結局は国民のためになるんだよ?
 おじさまがどう考えているかは知らないけど、おじさまは自分が支配したいっていうだけで、国を滅ぼそうとは思っていないだろう。
 『幸せに暮らしたかったら、私の言うことをききなさい』
 別におじさまがそう言って国を支配しても、おじさまが恩を着せるってだけで、結局国民は私の力で幸せになるんだからいいじゃない。
 トップに立つのがお父さんなら、国民に恩を着せない。
 トップに立つのがおじさまなら、国民に恩を着せ、支配する。
 ただそれだけの違いで、結果は同じ。
 それなら、私が気持ちいい方がいいに決まってる。

 くちゅくちゅアソコをいじってたら、クリトリスに指が引っ掛かり全身がビリビリと痺れた。
「ふわああーーッ!!」
 こんな、こんな敏感なトコロにあんなピアスをぶら下げられちゃうなんて……ッ!
 どうなってしまうのか想像できない!
 やってみたい!
 やられてみたい!
 おじさまとの戦いなしに、アナムネのことなんか関係なしに、アレを全部一式取り付けられてみたい!!

 キュッキュッ!
 い、イクッ!
 イク!
 ちょ、ちょーきもちいい!!

 コンクリートの床の上で、生まれて初めて、自らの快感を貪るだけのためにイッた。

 しばらく快感の余韻の中でウトウトしていたが、そのうち安堵案に包まれて眠ってしまった。




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