呼吸制限絶頂屈服

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「シューーッ…… シューーッ……」

 暗黒の中で、まるで肉装置による改造手術を受けているような気分で、身を任せているあたし。

 あたしのゆっくりした呼吸の中で、ペニス型触手全体がゆっくりと前後に動く。
 ああ、こうやってペニスを扱くのね。
 おちんちん呑み込むとなにが楽しいのか、やっとぼんやりと理解した。

 イメージを置き替えてみる……
 まあ、あたしが男の子だったら、これきっと楽しいかも……
 喉奥の更に奥までなだれ込む先っぽが、強圧の肉襞に包まれるのがたまんないと思うかも。

 うんうん。

「シューーッ…… シューーッ…… コヒッ……」

 え?
 ちょっと、呼吸の素、さっきより更に減ってない?

 嫌!
 苦しい!

 勝手に調節されちゃってんの?

「シューーッ! シューーッ!」

「スヒッ!スヒッ!スヒッ!スヒッ!スヒッ!スヒッ!」

 吸っても吸っても楽になんない!!

「ン……! ……! ……!」

 真剣に死が見えた所で、ハッ!と喉の脱力方法を覚えた。

「コハッ!!」

「スヒー スヒー スヒー」

 ああ、こうすると少し楽なんだ。

『『アーー』って言う感じで、『オエッ』ってやってみ?』

 マーサの言う通りだった。
 だけどそんな風に言われたってわかんないよ!!

 ……だからこその、このおしおきか……

 すごいや、呼吸すら他人にあげちゃう気分で喉の力を抜かないとダメだなんて……


 突然、ぞわぞわと全身の触手が蠢きはじめた。

 ちょ! 今そんなことされたら……

「シューーッ! シューーッ!」

 もっと呼吸の素、足んなくなっちゃうよ!!

「シューーッ! シューーッ!」
「シューーッ! シューーッ!」
「シューーッ! シューーッ!」

 黄泉への階段を一段ずつ下りるような、手足の寒々しさを感じ、本当に身体が命の限界にあることを知る。

 指先が冷たい。
 でも、頭とアソコが熱い!

 うーー!

 うーーーー!

 苦しさの中で、どんどん何かがこみあげてくる。
 突然、あのベッキイの姿を想い出した。
 ベッキイのあの口には、喉から肛門までを貫く触手が通ってるんだっけ……
 全身に熱い衝撃が走り、こんな酷いことされながら、あの彫像に憧れて絶頂を迎えようとしている自分に気付いた。

 やっと快感の共通点を見つけた。
 ご主人様があたしに突っ込む時、あたしが追い詰められて心が滅茶滅茶に掻き乱されるのを期待してるんだ。
 あたしが死にそうな気分になって、それでもけなげに細い呼吸で命を繋ぎながら、押し込まれたモノを丁寧にねぶるから、ご主人様は興奮するんだ。
 その流れを守ればきっとご主人様は満足するはず。

 ああ……

 理解したとたん、猛烈な快感が押し寄せてきた。

 きもちいい……

 イク……

 まばゆい光の束に包まれて、動かない手足を激しく痙攣させながら絶頂に達した。
 お腹の奥の奥、子宮口の触手が、ご褒美のおまけとばかりに子宮を突き上げる。

 ウムンッ……

 心を自分で呑み込むような、深い快感がパアアアと拡がり、明るい光の中からぜんぜん降りてこれなくなった。
 恍惚が永遠に続く。

 プツンと意識が途切れた。


 *****


 ガックンガクンと身体が前後に揺すられてる。
「クリス!!! グ! リ”! ズ!ってばあああああ!!!」
「は?」
 目の前に泣きはらしたマーサの顔があった。

「わああああん!! 良かった! 良かったクリス!」
「へ?」
「おお、一安心だね」
「? ご主人様まで……」

「死んだかと思ったよう!!」
「ええ!?」
 あたしはまだあの椅子に座ったままだったけど、手足は自由になっていて、もちろん、マスクもペニス触手も消えていた。
 顔じゅうベタベタする。

「いやまさか過去にそんな事故はないから、安心してマーサに任せたんだが」
「申し訳ありません!申し訳ありません!申し訳ありません!申し訳ありません!」
「いや、マーサのせいではないよ。クリスは気持ち良かったんだろう」
「えへへ、はぁ。まぁ」
「コノぉ!心配させてぇ!」
「ごめん、マーサ」

「まあ、こんな状態では無理だったろうから、またいずれおしおきのやり直しだな」
「えええ? それはあんまりですぅ!」
「しかし、結局無理だったのだろう?」
「クリス、悔しいかもしれないけど、仕切り直しも大事だぜ」

 あたしはニヤッと笑った。

「ヘヘヘ、今、いいですか?」
「こ、これ、もう休みなさい、御苦労だったね」

 あたしは腰を引いたご主人様の腰を掴み、ズボンと下着を下した。
「こら!」
「あらぁ、もうお元気ですね?」
「クリスの乱れたあとの、この地下室の匂いを嗅げばな」
「ありがとうございます。 では早速。……あ”〜〜〜〜」

 ご主人様の前に跪き、歯を当てないようにして、ルロロォっと一気に咽頭まで押し入れた。

「な!!」
 喉の隙間でスースーとゆっくり呼吸し、頭を前後に動かして喉を突くイチモツを扱(しご)き上げる。
「なんと!」
 喉の奥でご主人様のが熱くなっていくのがわかる。

「コフー…… コフー……」
「おお、呼気までがこそばゆくきもちいいぞ」
「ンン……」
 息を我慢して、喉の脱力を少し解くと締まりが戻るはず。
「おお?? これハっ!!!」

 ドン!と喉が突き飛ばされるような射出の反動を感じ、白いのを飲もうと思ったらあまりの量に奥が詰まり、鼻の奥がツーンと痛くなった。

「ぷんっ??!」
 両鼻から真っ白い鼻汁が噴き出し、口の脇からもドロドロと溢れた。
「ぷあっ!!」

 頭を反らしておちんちんを口から抜いちゃった。
 両鼻から鼻水みたく白いのが垂れる。

「アッハッハ! クリス、面白い顔!」
「お、おおお、済まんな、多かったようだね」
「ゲホゲホ! 飲めなくてごめんなさい」
「それはまたで良いよ。それにしてもどういうテクニックなのかね」
「あたしにもわかんない」
「フフフ頼もしいな」
「うわー、私クリスに負けちゃいそう」

 おしおきの完了を告げられ、その日の夕方のお仕事は全部免除。

 夕食を受け取って自分の部屋で摂り、久々に朝までぐっすり寝た。


(終)



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