書庫プロフィール(全年齢用)

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★電子書籍初めての方はこちらもどうぞ★ (個人的感想コラムです)

【このプロフィールページについて】2014.10.22更新
 当書庫は基本的に18禁のため、プロフィールも18禁エリアにしかありません。
 18歳未満の読者様が電子書籍購入に際してご参考にしていただけるように、ここに簡単なご紹介を置いておきます。
 18歳未満の方は、このページ以外は当書庫のコンテンツを閲覧されませんようお願い致します。
 このページは改行書式を無視したプレーンテキストですので、環境(スマホ等)によっては見づらいですが、何卒ご了承下さい。


【更科について】
 1999年頃からWEB上で文章の創作活動をしております。
 貞操帯ネタを中心に、拘束やSM系の駄文を書き散らして来ました。
 2012年からPIXIVでも小説作品(18禁)を発表するようになりました。


【同人活動】(全部18禁です)
 C73 2007冬 文庫本100冊(完売)
 C74 2008夏 文庫本100冊(完売)
 C75 2008冬 コピー誌50部(完売)
 C76 2009夏 B5オフセ150冊(完売)
 C77 2009冬 ペーパーのみ
 C85 2013冬 合同誌B5オフセ400冊(完売)



【作品傾向】
 もともと自分が読みたいと思う文章を書くところからスタートしておりますので、マニアックな細かい描写が特徴となっております。
 ストーリーや心の動きを作品に求める方には向かないかもしれません。
 基本的にハッピーエンドしか書きません。(これは当書庫をお読みの方ならご存知のことなのでネタバレとは考えておりません)


【オシリス文庫(旧ペガサス文庫)について】

『ギチギチ超拘束 檻の中の剣姫』 2013.09.20
 「強い女の子がピンチに」「異世界」「日常」「ちょいラブ」「拘束」「バキュームラック」「檻」などを題材にして書き下ろした作品です。
 全年齢対象の作品ですので、直接的な描写などはありません。
 手軽に読めるボリュームで、ちょっとドキドキして頂くのが目的ですから、世界観や日常描写は駆け足になってしまっています。
 「バキュームラック」など、あまり一般的でない装置が出てきます。
 女性一人称で書かれています。
 回りくどい表現が多いので、かなり薄味に感じると思います。

『』 2014.
 未定
 といいながら です。
 を厚めに
 ★注意★
 の作品とは全然違う内容なのでご注意下さい。


【作品例】
 本来ご購入の参考になるはずの当書庫のコンテンツが、今のところ全部18禁なので、文章の傾向がわかる例文を掲載しておきます。

 ★注意★
 ・内容は予告無く変わる場合があります。
 ・文章の傾向を示すために掲載したものですから、ご購入によって同じような面白さが得られるかは保証致しかねます。
 ・10年以上前に書いた「アイツ」の、最新リメイク版「アイツにゅー」(18禁作品)の一部分を言葉遣いを変えて掲載しています。
 ・現在連載中の未完成作品の一部ですので、この前後は年齢制限なしエリアにはありません。また続きもまだありません。

――――――――――――
「アイツにゅー(一部改変)」


 解錠されたままの南京錠をそのままクルリと回し、革ベルトを束ねている留め金から外すと、まずパンツ部を構成する縦ベルトが外れ、次に水平のベルトが外れた。
 留め金の土台はブラからY字に下がっているベルトに固定されていつ構造だ。
 面白いことにそれ以外の留め金や調節部分は無く、他はすべてリングに革ベルトを通して折り返し、リベットで留めてあるだけだ。
 こんなもの実物は初めて見るので、サイズについて合う合わないの知識などあるはずもなく、フリーサイズで勝手にフィットするのだと漠然と考えていた。

 中央の留め金が外れると、パンツ部分はそのふんどし状の形態を失ってただのベルトの塊になり、だらりと垂れた。
 そこで初めて股を潜るベルトの真ん中に、リングが2つ並んで連なっているのに気付いた。
 背中側に近いリングはやや大きく、妙な形に歪んでいる。
 前側に近いリングはやや小さく、どちらのリングも他のリングと同様、革ベルトを折り曲げてリベットで留めてある。
 不思議なことにその小さなリングの前寄りのリベットは、他の全てのリベットより大きくて分厚いものが使用されている。
 さらに良く見るとそれは内向きになだらかに尖っていて、あんな形では皮膚に食い込みそうでちょっと心配だ。

 ブラ部分は全く調節が無いので水着ハンガーを下に抜くように外し、全体を手に持ってみた。
 なんだかサイズがぴったりっぽいのが、アイツの思惑の中から抜け出せないようでイヤーな感じだ。
 ただそのイヤさは、呆れ感情30%、視姦の不快感20%程度。
 そして残りの50%は、何とも言えない甘いジワリと染み込む感情が占め、不思議な軽い興奮が伴った。

 さて……と、どうやって着ればいいの?
 ブラがバラせないってことは、Tシャツのように上から首と手と……左右の胸を通すのだろうか。
 とても他人には見せられない間抜けな姿で、そのベルトの塊を頭から被る。
 下着や洋服と違ってヒヤッと身体に冷たく感じる。
 タンクトップを着るように、ブラの水平ベルトと肩ベルトとの間に左右の腕をそれぞれ通す。
 当然、胸の上でそのベルトの塊は引っかかり、思わず剥き出しの先っちょがベルトで傷つかないか心配になってしまった。
 一応人並み以上にある私のバストのことを良一が考慮しないわけはない。
 背中側のベルトをぴったりに合わせたら、カップ部相当部の下部は、あまり抵抗なく胸の先端を越えた。
 左右の胸をそれぞれに膨らみ全体を菱形に取り囲むベルト。
 その下に続くY字のベルトがちんちくりんに宙に浮く。
 これ、短くない?

 背中側は素直に真っ直ぐ下りているので、背中に垂れたベルトの束のうち、腰ベルトに相当する短い2本を探り当て、腰に回して前で合わせてみる。
 このベルトが腰の一番くびれたところに食い込み、ちょうど中央で合わさるように、Y字に下がったベルトの留め金が来ないといけないんだ。
 背中側は合っているみたいだけど、前が全然足りてない。
 でもこれ以上引っ張るったって……
 その時、ブラ部の菱形のベルトの意味が突然理解できてしまった。
 ――ゴクリ――
 その形にとらわれて、水着のブラのように胸を「包んで」支えるのだと思っていた。
 ……ちがう……
 この菱形から、胸の膨らみを、縊(くびり)り出すんだ!
 ちょっと待ってよ……
 それって……なんて惨めで……卑猥な構造なの……?

 思考が半分くらい停止し、自分が今置かれている位置に激しく動揺する。
 私……自分がとてつもなく惨めな姿にされてしまう状況の入り口に立ってる!
 この作業自体は、アイツを悔しがらせるために、私が望んで始めたこと。
 誰に強制されたわけでもなく、完遂する義務も無い。
 単にアイツがどんなこと私にさせたいのか見てみたかっただけ。
 こんな人をバカにした姿なんて……
 しかし、やりはじめたジグソーパズルみたいに、一瞬でもいいからその完成を目にしてみたいと思う興味も無いことはない。
 心を決め、あまり自分を惨めに思わぬようにして、その菱形のベルト枠から丁寧に膨らみを掴み出した。
 左右とも胸がやや不自然に飛び出し、胸板の皮膚に菱形のベルトがぺったり載る。
 Y字のベルトはお腹に直接触れ、再び腰ベルトを前に回して来ると、さっきの苦労はどこへやら、いとも簡単に左右のベルトは留め金に留まった。
 すごく惨めだと思った胸の縊り出しも、身体にぴったりベルトが密着してくるとなんとなく気にならなくなってきた。
 ふと見ると、腰ベルトが山なりに歪んでいる。
 これだけ胸を縊り出したのに、まだ足りないの?
 サイズの不適切さに少しムッとしたが、背中側の位置合わせが全然まだだということを思い出して少し気を取り直した。
 お尻の後ろに手を回し、背中側の水平位置を探ると、確かに腰ベルトは背中の方が下に下がってる。
 肩ベルトを少し前方向に送り、ブラの菱形の枠の位置を少し下げ、腰ベルトを回してY字ベルトから下がる留め金に重ねるとほぼぴったりと重なった。

 よし、次は股のベルトだ。
 留め金から手を離すと、腰ベルトがハラリと外れ、パンツ部が全く形を成さなくなり、股ベルトの位置決めが曖昧になる。
 しょうがないなぁ。
 最初に外した南京錠から鍵を抜き、本体からツルが反対向きに飛び出た状態で手に持つ。
 腰ベルトを再度留め金に左右合わせて、南京錠のツルを通して仮留めした。
 南京錠もすぐに抜けそうだったので、本体とツルを同じ向きに戻し、施錠直前の状態にしたが、まだ施錠するには早い。
 この状態だとあとは股ベルト1本だけで完成なので落ち着いてデリケートな作業が出来る。
 さて、一番妖しいベルトをいよいよ通す。
 股を覆うっていう安堵感は確かにあるのだけれど、2つのリングと大きなリベットが私を不安にさせる。
 一応下着の上からだから、ソコが傷つくことだけは無いだろう。
 股の下を単純に潜らせ、ベルトが捩れてないか確認し、さっき腰ベルトを合わせた金具に近づける。
 え?
 ここまで来て、長さが足りない?
 やはりこれはサイズが合ってないんだ。
 ブラが胸を締め付ける度合いに比べて、下半身の締め付けが緩いことに気付いた。
 もう少しギュッと締め込めばちゃんと留まるかもしれない。
 股を潜るベルトを少し強めに引っ張ってみる。
 その時、お尻とアソコに強い違和感を覚えてちょっとドキリとした。
 構造を色々推察して把握しておきながら、一番大事な部分についてはちょっと怖くて、わざと考えることを避けていた。
 しかしここまで試したら全部把握しないと気が済まない。
 良一の思惑や、アイツの趣味について多少なりとも理解が進めば、アイツの妄想の矛先を、不快にならずに上手くかわしたりすることが出来るかもしれない。

 さっき気付いたリングのうちの大きな方、あれがお尻に食い込んでいる。
 だいたい、なんでこんなところにリング……ハッ!!
 ――ドクン――
 胸の縊り出しなんか比較にならないくらい、もっと恐るべき性的な仕掛けに思い当たってしまった。
 このリングはお尻の穴の位置に来るのだ。
 お尻の穴に直接ベルトが触れないように。
 ベルトで敏感なお尻が擦れないように。
 違う。
 擦れないようにじゃなく…… 排泄できるように、だ。
 そして……前のリングはきっと、排尿用。
 その穴の付近に合わないとだめなんだ。
 そして大きなリベットは……?
 これは意味不明。
 でもそれが肌に食い込むかと思うと、敏感な割れ目付近に当たりそうで不安だ。
 少しリングの位置を気にしながら締め込むと、まだかなり足りない。
 リングの位置が少しずつ後ろへズレていてちゃんとした位置に合ってない感じだ。

 パンツが無ければ……という恐ろしい考えが頭をよぎる。
 邪魔な布を外し、生身のそこに直接触れるようになれば、きちんと締まるかもしれない。
 だが、このベルトが素肌に触れ、そこの湿り気で汚すことだけは絶対に出来ない。
 汚した言い訳なんて死んでもしたくない。
 もう自分ではっきり自覚してる。
 そこを濡らしてるって。
 だからせめてその恥ずかしい部分を自分で直接見るような惨めな想いをしてもいいから、パンツは新品に換えよう。
 一旦ベルトを離し、パンツを脱ぐ。
 股のところからネッチリと糸を引いて、恥ずかしい興奮の跡を表していた。
 引き出しを開けると、生理用品が目に入った。
 この状況ではパンツよりもライナーの方がいいかもしれない。
 でも革にライナーのテープの痕でもついたら着た事がバレてしまうので、ライナーを附属の粘着テープで貼り付けずに、ただ股にあてがっただけの状態でベルトを締め込んだ。
 やった!
 今度はちゃんと留め金まで届く。
 僅かにきつく、また股の食い込みが卑猥になってしまうけど、これを着込む苦労がようやく報われるという達成感が得られそうで嬉しくなった。
 ライナーの両端がはみ出ているのがカッコ悪いけど、羽根は畳んだままなのでそんなには目立たない。
 私の少なめな飾り毛は、ベルトの幅の中に隠れてしまった。


 恥ずかしいのを我慢して、自分の身体を姿見でじっくり観察する。
 フフフ、これをスマホでセルフ撮影して良一に送れば、アイツきっと即死だわね。
 この画像こそがアイツの求めている画像。
 どれだけネットで同じような画像を集めても、同じものを美人のモデルが着ていても、絶対満足しなかったアイツを、一発で満足させられる画像。
 何年もかけて集めた莫大なエッチ画像にいとも簡単に匹敵してしまい、それらをも凌駕するたった一枚の画像。
 ――ドクン――
 それは…… 私が……
 私が……ボンデージを……着てる……画像……
 アイツ、バカだよバカ。
 あんなドイツのすごい外人モデルが着てる画像より、こんな幼馴染の同級生が着てる画像の方がいいなんて。
 私の顔なんて見慣れすぎてて、普通なら萎えると思うんだけど?
 それに、このボンデージのサイズ……
 フリーサイズだなんてとんでもない。
 調節部分が一切無いのにここまでフィットするなんて……
 間違いなく、私のサイズに合わせて、私のためだけに作られたものだ。

 それって……
 ――ドクン――
 まさか、私のことが…… す……き?

 不意に私の素肌に纏わりつく革ベルトの衣装が、じんわりと温かみを持ち始めた。
 私の顔がアイツのエロ妄想の部品に使われたという嫌悪感をその想いが追い越し、愛情に包まれるという新たな認識に自分が震える瞬間が訪れた。
 どんだけアイツのエロ妄想の罠だと卑下して否定しようとしても、一度そう認識してしまった私は、完全にこのボンデージに絡め取られてしまった。
 千歩譲ってここだけの私の恥ずかしいカンチガイだったとしても、嫌な気分じゃないのが不思議だった。
 温かい気持ちに浸っていると、不意にベルトがパラリと崩れた。
 もー、さっきから体を動かすたびに、何度も外れる留め金が煩わしい。
 手で押さえていると鏡で全体が見れない。
 南京錠の鍵も手元にあることだし、ちゃんと留めてみよう。
 興奮の渦が抜けきれぬまま、カチリと施錠した。

 ふー。
 一通りの達成感を得たら、少し落ち着いてきた。
 でもやっぱり本人に面と向かって好きと言われたわけではないので、万一私の思い込みだったら恥ずかしさで自殺ものだ。
 私が勝手に良一に想われていると思い込み、暴走したなんて。
 やめたやめた、こんなバカバカしい遊び。
 私はどうかしてたんだ。
 でも着る時の苦労を考えれば、このまま脱ぐのも勿体無い。
 悔しがらせるネタにするため、写真だけは残しておこう。
 私はスマホを取り出し、鏡の中の自分をもう一度しっかり見てゴクリと唾をのんだ。
 そして鏡に向け、どうせ見せるわけではないからと、飛び切りの笑顔で笑ってシャッターを切った。

 気が済んだのでバレないうちにキレイに畳み、明日には良一に突ッ返そう。
 やっぱイラネ!ってね。
 たっぷり嫌みったらしく? ウフフ。
 鍵束を取り上げ、私のおへその上に取り付けられた南京錠に差し込み、何の疑念も無く回す。
 あれ?
 回らない。
 一度抜いて鍵束を見ると、3つの鍵ともきれいに同じ山の形をしてリングに通され並んでる。
 同じ鍵だよね。
 でも精度の問題ってこともある。
 いつか台所の鍵を複製しに行ったら、鍵やのおっちゃんが、微妙に開かないこともあるから必ず確かめろって言ってた。
 2つ目の鍵を取り、挿入して回す。
 ……回らない。
 3つ目。
 ……回らない。
 カーーーーッと頭に血が上った。
 ハメられた!
 アイツ、私が着るかも知れないって思って、こんなくだらない罠を!!
 夜も遅いけどまだ10時、テスト勉強でもっと遅くにお邪魔したこともあるから、今なら平気!
 乗り込んでいってゲチョゲチョにやっつけてやる!

 ―― ハッ! ――

 鼻息荒く意気込んだ瞬間全身が凍りついた。
 私、こんなとんでもないカッコしてた!
 人間社会において状況に応じた衣装がいかに大切か痛感する。
 いまこの瞬間のボンデージ姿の我が身が、どうやってアイツをエラそうに怒鳴り散らせるというのか。
 胸をくびり出され、股を卑猥に締め込まれている事実が、説明なんてしなくても自分がこの世の底辺に位置してると思い知る。
 ほんの僅かな面積しか持たない特殊な衣装のおかげで。
 いや、別に本当にそんな奴隷のような存在になったわけじゃないんだから、服着て飛び出して良一ン家のインターホン押しておばさまに挨拶して上がり込んで怒鳴り散らせばいいだけ。
 なぁんだ、簡単じゃない。
 チガーーウ!!
 最初でつまずいてるよ!
 服、着れるの?

 少し大きめのブラ探し出して、肉を圧縮するようにみっともなく装着する。
 パンツは問題なく穿けた。
 ボンデージのブラ部分は肩紐構造なので、Tシャツを着ても首周りから黒い革が覗くことはない。
 下はハーフパンツ、さらにジャージを羽織って、ほとんど学校の体育の格好になった。

 と、着替えながら違和感を覚えた。
 ある角度に足が上がると、なんかゾクッと気持ちいい。
 自分の身体が今どうなっているのかなんてじっくり考える余裕がなかったので、微妙な刺激によるそのヘンな感覚も、ただの違和感としか捉えられない。
 生理用ナプキンよりも遥かに薄手のライナーは、アイデアとしては良かったけど、機能的にはもう限界。
 ヌルヌルを吸い切れずに既に決壊しそうだ。
 そのままニセモノの鍵とスマホだけ掴んで部屋を出た。

 良一んち。
「こんばんわ、遅くにごめんなさい。良一いますか?」
「ええ、居るわよ。宿題?」
「そうです」
「大変ねぇ」
「すみません」
 宿題のノートなんて持ってないのに、適当に相槌を打って上がり込む。
 階段をわざとドスドス踏みしめて上がると、おばさんの心配そうな顔が階下に見えた。
 興奮して大声出さないようにしないと。

 ノックするのもなんかムカついたので、何も言わずにそのままガチャッとドアを開けると、良一はPCの前でニュースサイトを見ていた。
「うわ、こんな時間に、いきなりどうした?」
「あ、あんたねぇ!!」
 そこまで言ってから自分で凍りついた。
『鍵が違ってんじゃないのよ!』
『こんなものあたしに着せて!』
『だましたわね!』
 どの発言も全て、自分が自分で勝手に預かったボンデージを着てしまったことを表すものだからだ。
「ぐっ。」
 真っ赤に紅潮して歯を食いしばる。
「どうしたんだよ、こんな遅く」
 ぐるぐるの脳細胞が単語を搾り出す。
「かっ、鍵!」
 左手の鍵を突き出す。
「あ、それ、あれのか! 悪い悪い、鍵が違ってたろ?」
「へ?」
「いや、あれを一式陽子に渡した後で、ついでに他のやつ整理してたら鍵合わなくてさ。メールして明日学校に持ってきてもらおうと思ってたんだ」
「へ?」
「ちょうど良かったよ」
 私の差し出した鍵をすんなり受け取る良一。
「じゃ、あのボンデージの鍵は?」
「あー、ちょっと見当たらない」
 一瞬で顔面蒼白になる私。
「み! 見当たらないって! そんなルーズなことでいいのッ!?」
「あ、もしかして試しに組み立てて鍵掛けちゃった?」
「掛けちゃったわよ!」
「でも、構造見るのには別に差し支えないだろ? そういうのまとめて入れてる箱の底に落ちてると思うから、明日にでも探すよ」
「そ! それじゃ遅いのよ!」
「え? なんで?」
 良一の目は全く私を疑っていなかった。
 『試しに組み立てて』という発言も、間違いなく『私が机の上で組み立てて』のつもりだ。
 コイツは腹に姦計を抱えてこんな純粋な目をするなんて出来ないヤツなんだ。
 逆に、私が勝手に着ちゃうなんて心の底から微塵も思っていなかったんだろう。
 それはそれでちょっと微妙な気分だけど。
「なっ! なんでもいいから! 今すぐ探しなさいよ!」
「えー? じゃぁ手伝えよ」
「いいわよ!」
 もう、ヤケクソ!

 良一がクローゼットを開けて、宅配便のダンボールを2つ重ねたくらいの箱を出してきた。
「これ縦に深いから、全部出してから底を漁るのが面倒でさ、アハハ」
 屈託なく笑いながら、箱をどうっとひっくり返す。
 ゴロゴロと転がり出たのは妖しい衣装と器具の山。
 汚い布袋も転がり落ちて、ガチャンと大きな音を立て、中から手錠がこぼれ出た。
「うっわー! サイテー! こんなもん女の子に見せてんじゃないわよ」
「おいおい、夜の10時過ぎに人の部屋にいきなりやってきて鍵探せって言ってるの、陽子だぜ?」
「うっさい! ちょ、なにこれ?」
「え? 首輪。そうそう、これの鍵だったんだよ。ほら」
 それは今私が着ているボンデージと同じ位に分厚い革で出来ていて、いくつか調節穴があり、バックルで留めたあとに南京錠が掛けられる構造になっていた。
 良一がその南京錠に私の持って来た鍵を挿して回すと簡単に開いた。
「ほんとだ」
 鍵の掛かる首輪なんてあるんだ……
 いや、今の私はもっと凄い状態で鍵掛けられてるんだった。
 そのベルトで戒められた下半身が熱くなる。
「こっちは?」
「これは膨らまして使うやつ」
「ふーん」
 どこでどうやって『膨らます』のか、なんて聞けなかった。
 だって男の人のアレの形に似てるんだもん。
「これは?」
「これはボールギャグって言って、口に噛ませて使うやつ」
「噛ませるだけなのにベルトこんなに沢山要るの?」
「うん、ただ噛ませるだけだと、口を開けば舌も出せるし結構喋れるんだよ。これは頭と顎にベルトを回して絞め込むから、口を開けることも喋ることもできなくなるタイプなんだ。ハーネスって言うんだけどね。ほら、犬のとかあるじゃん?」
「なっ! そんな……」
「おいおい、余計なものばっか解説させて、肝心の鍵を探さなくていいのかよ」
「探すわよ!」
 私も屈んで手伝おうとしたら、全身の革がギシリと鳴り、股間がキュウウと締め付けられ、胸板がグッと圧迫された。
「はうッ! んァッ!!」
「え?」
 良一の手が止まる。
 そして良一の眉がすーっと降りて、今までのちょっとハイテンションなモードから、急に落ち着いた感じに変わった。
 私は雰囲気が急に変わったことにいたたまれなくなり、チロリと目を逸らす。

「あのさ…… 俺は心の奥に仕舞っていたものを陽子に勝手に掘り出されちまって、人生究極の告白もしたんだけどさ……」
「こここ告白なんて! そ、そんなの聞いてないわよ」
「お願いしたじゃないか、『陽子がボンデージ着た写真が見たい』って。お前、『見たい、って言えばいつでも見せてやるわよ』って言ったろ?」
 ―― ドクン ――
「あ、ああ……」
「あれをあそこまで否定しておいて、まさか、自分で着るなんてことはないよな?」
「あ、あ、あたりまえでしょ!?」
「あのボンデージ衣装は、奴隷にその身分を思い知らせるための巧妙な仕掛けを施された衣装なんだ」
「えッ?」
「もちろん俺は自分では着れないので真偽はわからないけど、あれを作った工房のサイトにちゃんと書いてあるんだ」
 ―― ゴクリ ――
「『身体を動かす度に胸板と股間が圧迫され、脱がない限り絶対解放されない、奴隷自身を包む柔らかい檻、奴隷の心を持つ者を永遠に捕らえる檻です』ってね」
「はぐア!」
 ―― ドクン ――
「つまりあれを喜んで着るやつは奴隷になりたいヤツってことなんだけど、わかる?」
 私はギョロリと目を剥いた。
「り、り、理屈はなんとなくわかるけど、あ、あ、あたしが知るわけないでしょ、そんなこと!」
「ねぇ…… なんで陽子はそんなにあのボンデージの鍵が必要なの? いくら構造に興味あるって言っても、鍵なんて明日でいいじゃん」
 ―― ドクン! ――
「それは……」
 核心に触れられて全身の毛穴から汗が噴き出す。
 どんどん動悸が早くなり、耳は焼けそうなほど赤くなり、核心を自分の口から吐露し、『あれを喜んで着て奴隷になりたいヤツ』ってことを認めそうになる。

「あ、あった。これだ」
 良一が一つの鍵束をつまみ上げる。
「よこしなさいよ!」
「ダーメ。今すぐ欲しい理由をちゃんと言ったらやるよ」
 良一が指先でぶら下げているその鍵束の重さが、今の私には全身で理解できる。
 私の全てが、あの小さなギザギザを持つ金属片で支配されているんだ、って。
 すると突然、全身にブルブルと激しい快感が走り、5秒ほどボーッとして動けなくなった。
 そしてすぐ弛緩すると同時に、いじわるをする良一に対する感情が一気に噴き出して、ブワッと涙が出た。
「うわあああぁぁぁぁーーーん!!」
「ちょ、陽子?」
「だって! だって! 良一が着て見せろって言って! だから写真だけ撮って、悔しがらせてやろうって思って! そしたら脱げなくなって! へんな気分になって! あした学校あるのに! だから恥ずかしいけど、外してもらおうって思って! そしたら奴隷だって! せっかく着てあげたのに! わあああぁあああぁあぁぁああああーーーーーん!!」
「陽子!」
「あムっ!!」
 ドン!とものすごい勢いで抱きしめられ、ムニュっと口を塞がれた。
 それが良一の唇だってわかったのは、熱い舌がねろりと侵入してきた時だった。
「ムーーーーッ!! ムーーーーッ!!」
 良一の胸を突き飛ばして口を剥がそうとする。
 一瞬離れた。
 けど……
「力抜いて」
「あ……」
 催眠術に掛かったように脱力すると、再び口が合わされて、舌が侵入してきて、脱力した舌をゾロゾロと舌のツブツブで舐め回された。
 るりゅっとこすり抜かれると、ゾクゾクと快感が走る。
「ぷぁっ……」
 長いキスからやっと解放された。
「ひどいよ…… ファーストキスだったのに」
「俺もさ。でもごめん、陽子がそこまでしてくれると思わなかった」
 良一のストレートな一発を喰らって、急に心が軽くなった。
 身体は奴隷だそうだけど、気分はいつもの私に戻った。
「ま、いいや、なんかきもち良かったから。コホン! あたしも、ちゃんと言うね? 今、下に着てるの」
「マジ!?」
「あんたねぇ、誘導尋問みたく引っ張ったあげく、唇まで奪ったくせに、信じてないの?」
「だってそんな幸せすぎることあるわけないって……」
「プーーッ! もう、怒る気も失せたわ。どんだけ好きなのよ、ボンデージ」
「『陽子の』ボンデージ、な?」
 ―― ボンッ!! ――
 顔が破裂したと思った。
 こここここいつわ!
 生まれた時からの付き合いで!
 幼馴染の!
 同級生に!
 臆面もなくそんなコト言えるキャラだったの!?

「見せてよ」
「へ?」
 一瞬硬直する。

「ば、バカ言わないでよ! あれを見せるってことは、そ、その、胸とか、お、お股とか見せろってことじゃない」
「見るって経験だけ言えば、陽子の胸もソコも見た回数2ケタじゃきかないけど」
「それは低学年のころでしょ?」
「もすこし上でも見てるぜ」
「あれは別荘での事故じゃん!」
「さーて、この鍵、どうしようかなー?」
 ―― ドクン! ――
「ひ、卑劣よ!?」
「なりゆきとはいえ、もう陽子はそれを着けてる限り奴隷の身分なんだぜ」
 ―― ドクン! ――
「そんな……」
「もっと説明しようか。気付いたと思うけど、あのボンデージは陽子専用の特注サイズなんだ。だから調節ベルトも無くぴったりなんだぜ。そのかわり、着るには相当絞め込まないと着れないんだ」
「あっ!」
「いくら俺のリクエストだからって言っても、写真撮って悔しがらせようとかいう程度の動機では、絶対途中でギブアップするはずなんだ」
「な、なんでよ」
「絞め込まれてきもちいいと思わないと、とても着れないものだからさ」
 ―― ドクン! ――
「ああ……」
 私は全身の血を良一に吸い取られたような気分だった。
 心のどこかがドロリと溶けて、『奴隷』という単語を受け入れる。

「あのさ…… 奴隷の間は、どんなはしたないことしても、それを普段のあたしに重ねないって約束してくれる?」
「……なるほど。うん、約束する」
「なら、いいよ…… 奴隷で」

 ゴクリ、と良一が唾を飲む音が聞こえた。

 私はジャージを脱ぎ、ハーパンを床に落とし、Tシャツを脱いだ。
「すげぇ、ボンデージの上からちゃんと下着も着れるんだ」
「無理矢理だけどね。ブラはサイズを選べばもうちょっときちんと着けられると思う」
「すごいすごい」
 局所がボンデージそのもので隠れてる分抵抗がないので、先にパンツを脱いでからブラを取り、胸を腕で隠した。

「あんまりジロジロ見ないで……」
「最高だよ…… 陽子……」
「き、気が済んだでしょ? 明日学校あんだから、早くこれ脱がせて!」
「……脱がせないよ」
「は?」
「それ、ちゃんと着たまま生活できる仕様になってるから、そのまま学校に行くんだ」
「ふざけんな! 鍵よこせ!」
 私は胸が見えちゃうのも気にせず良一に掴みかかった。
「陽子、お前自分のソコ見てみろよ」
 股間を指差す。
「あっ……」
 言い訳できないほどヌルヌルに濡れていて、ライナーは半分ずれていた。
「その白いシート取らないとダメだぜ」
「だって……」
「実績のある工房の革だから、身体に害なんかないよ。それにそのままじゃトイレ出来ないだろ」
「あ……」
「革製なんでシャワーは無理だから、明日の夜にはちゃんと外してやるよ。たっぷり楽しみなよ」
「た! 楽しくなんて!」
「じゃ、命令の方がいい? 俺に、無理やり。」
 ―― ゾクゾクゾクゾクゾクゾク! ――
 なんなの? この気持ち。

 またジュンとソコから溢れた。


(未完)

 中途半端で申し訳ありませんが、これで作風をご判断下さい。

 これで約10,000字です。

――――――――――――


【ナナとカオルについて】
「更科先生」というキャラクターについてよくご質問をいただきますが、名前の出所は私です。
 しかし他のキャラの名前同様、単に『名前のソース』というだけです。
 千草忠夫先生なんて女性キャラ(ナナ)に使われてますから、それと同じとお考え下さい。
 ナナとカオル作中の更科修太郎先生とは作風も対象も全然違いますので、あの雰囲気を期待して拙作をお読みになるとガッカリされると思います。

 甘詰先生とはコミケの時にブースに寄らせていただいたり、時々メールさせて頂いたり、映画の上映にお邪魔したりと、先生が大変お忙しい中ぽつぽつと交流させて頂いてます。


■■■■■■【以上】■■■■■■
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