クラスメイトボンデージ2

| 小説目次 | HOME
 クラスメイトボンデージ2


「……はい、では10日にシングルで一泊。 ……はい、禁煙で。 ……はい……はい。 ……では宜しくお願いします」

 ――ガチャ――

「ふぅ」
 たかがホテルの予約をするのに、なにをこんなに焦っているんだろう。

事の起こりは今日の学校。
「おはよ」
「あ、花井さん。 おはよう」
「どう? アレ」
「アレって……アレのこと?」
「うんうん」
「べつに、そのままだけど……」
「そっかぁ。 あのね、今週末お父さんとお母さん、海外に買い付けに出かけちゃうんだけど」
「で?」
「良かったら、またモデルやってあげようか」
「や、藪から棒だね」
 平静を装いながら、僕のソコは朝っぱらからバキンと硬くなってしまった。
「あ、都合悪かったら、いいよ」
「つッ、都合悪いなんてことは無いけど…… いくらなんでもウチでは出来ないしなぁ」
「そうかぁ」
「なんとかするよ。 明日まで待って」
 で、ラブホテルを使う勇気はまだ無いので、花井さんのお店に近いビジネスホテルを予約した。
 大学受験の宿泊斡旋パンフレットにも載っているところだから、高校生が一人で泊まっても怪しまれず、エレベーターホールがフロントから離れているので、あとから人が直接部屋に面会に来ても、見られることはない。
 あの辺りの場所にしては、一泊7千円と妥当な値段だ。

 当日、午後3時。
 道具を全部用意して、部屋で待っていると、ピンポーンとドアチャイムが鳴る。
 覗き穴から見ると、普段着の花井さんだった。
「いらっしゃい」
「こんちは」
 一応予想はしていたが、毎度のTシャツにジーンズ姿で、ちょっとがっかり。

 狭い部屋でベッドに2人並んで腰掛ける。
「……」
「……」
 話のきっかけが何もない。
 合意の上でココに来た、という時点で、目的はただ1つのはずなのに、同級生と2人で並んで座っているという日常から踏み出せない。
 この前は店の雰囲気ですでにトランス状態だったんだ。
 でも、今は……

「あたし、こういうホテル初めてなんだ」
 花井さんが切り出した。
「そういえば、お父さんたち、よく娘一人で置いて行くよね」
「うん。 なぜかすごく信用されてるんだ、あたし」
「それなのに悪いなぁ、なんかお父さん裏切ってるみたいで」
「え? そんなことないよ。 だってお父さんには言ってあるもん」
「ゲッ!! 知ってるの?」
「うん。 お父さん石垣くんのこと、すごく気に入っちゃったみたい。あれでも空手4段だから、暴れると怖いんだ。このまえも、あたしに触ろうとしたお客さん殴っちゃって……」
 僕はゾ〜〜ッと背筋が寒くなった。
「お父さんが、『石垣君に、お前の包み紙を剥がしてもらえるといいな』ってナゾなこと言うんだけど、別にあたし自然体で生きてるつもりだから…… 今更ねぇ」
「そうだね、花井さんてすごく自然にしてると思う」
「仮に比喩にしても、もうこれ以上剥けようがないと自分では思うんだけど……あ、そうか、処女を奪ってもらえ、ってコトかな?」
「しょ!しょ!しょしょしょ処女って?」
「あ、あたしヴァージンだよ? 石垣くんは童貞?」
「あああああ、あうう、うう、ウン……」
「あははは、おあいこだね。 『おあいこ』って表現ヘンかな」
「花井さん、ホントに自然体だねぇ」
「ごめんね。 あたし、こんなにガサツな性格だから、友達少ないんだなぁ。お父さんのお店で店員してても、面白いと思うだけで、抵抗ないし。ホントはもっと恥らうべきなんだよね」
 僕はその言葉で、恥らった時の花井さんの様子を思い出してしまった。

 ―― ドクン ――

 そうだ。
 僕はその恥じらいが見たいのかもしれない。
 本当の花井さん、心が裸になった花井さんが。

 急に、僕の頭を超然とした感覚が支配してきた。
 すーっと、脳がクリアになり、これからやるべきことの段取りだ見えてきた。
「脱ぎなよ…… モデル、してくれるんでしょ?」
 急な切り返しに、ちょっと戸惑った表情をしながらも、特にためらう様子もなく、ジーパンを下ろし、Tシャツを脱いだ。
 男の僕が見ても、ちょっと高級そうだとわかる下着を着けた、花井さんのセミヌードが僕の目の前に現れた。
「今日は、これも脱ぐんだよね?」
「うん」
 理性は超然としてるくせに、心臓がバクバク鳴って、ハレツしそうだ。

 花井さんは背中に手を回し、高級そうなレースの飾りのついたブラを外し、するりと肩から抜いた。
 中から現れた乳首は、小ぶりで慎ましやか、色も肌色と見間違えるほど淡いピンク色だった。
 乳輪は乳首の僅か外側を形良く縁取りする程度の幅で、思わず指で触れたくなるような美しい形をしていた。

 その乳首を乗せた乳房全体が、少し下に垂れたかと思うと、花井さんは前屈してショーツを足から抜き取った。
 淡い翳りを透かして、密やかな割れ目が見える。
 太ももの合わせ目に出来る三角形の空間に、下向きに集まった毛が筆のように垂れ、その先端は由来不明の湿り気でキラリと輝いている。

 由来不明なんて嘘だ。
 だけど、なるべく考えないようにしてあげるのがエチケットかな、と勝手に考えていた。

「着せていいよ」
 いつもの、ちょっとぶっきらぼうな声でボソッと言う。
 僕は何も答えずに、拘束具をチャラチャラと鞄から出し、首輪の部分を花井さんの首に巻いた。
 うなじの部分でベルトを留め金に通し、ぴったりのサイズのつもりで穴に通して留めた。
「う〜ん、少し緩いかも。 ホラ、こっち見て」
 言われる通りに花井さんの前に回ると、彼女は首輪から垂れた革ベルトの束を、グイッと下に引っ張っていた。
 首輪の前の部分は、そこから延びる胸の拘束具のベルトに引かれて、輪の形がいびつに歪んで浮いていた。
「あ、なるほど」
「もっときつくていいよ」
「うん」
 うなじの金具を2コマ絞める。革ベルトが首を圧迫しているようだけど……
「大丈夫?」
「このぐらいまでなら平気。 ほら、キッチリしたでしょ?」
 花井さんは、また前のベルトを引いてみせる。
 今度は、首輪は首輪の形にキッチリ固定され、たるみなく胸の間にベルトが延びている。
「ほんとだ」

 こんどは胸だ。
 花井さんは、なにをされるのか察して、両腕を体の側面から斜めに持ち上げ、脇を空けている。
 胸を搾り出すベルトの左右を、背中のベルトと結びつけ、ぎゅっと絞ろうとしたが、オッパイをきちんとベルトの枠に収めてくびり出さないと、肉を挟んでしまいそうだった。
 僕はそのすべすべの柔らかな肉塊をそっと掴み、ベルトの枠からズルリと引っ張り出した。
 胸を戒めるベルトが、彼女の胸郭を直接締め付け、平たく横に伸びた穴からひしゃげたオッパイが飛び出した。

 さらにベルトを絞る。
「ふンッ!」
 花井さんが肺の奥から吐き出すような吐息を吐いた。
「あ、きつかった?」
「へ、平気」
 こんどは腰のベルトだ。
 これは単に絞めるだけ。
 金具を留めながら、他人の肌、特に女の子の肌を間近で観察する初めてのチャンスに興奮していた。
 間近でみると、陶器のような肌でも、背中などにはやや色の濃い産毛が密生しているのがわかる。
 そして、たぶん本人は一生目にすることがないだろう、ホクロもかわいげだ。
 それらはモデルのような作られた肌というより、友達の、同級生の肌として、遥に現実の存在感を持っている。
 そんな現実味のある美しい肌を縦横に割る、黒い革ベルトの鈍い光沢と、肌の木目の細やかさが僕の劣情を刺激する。

 上から順に拘束してきて、最後に僕は、花井さんの前後ろに垂れたベルトに困惑していた。
 じっと睨む僕の目に映るのは、花井さんの股の前に垂れた長めのベルトと、それに明いた幾つかの留め金用の穴。
 そして、スレンダーだけど形良く丸いお尻の上に垂れた、バックル。
 あれを、あっちに入れて締める。
 ただそれだけ。
 だがそれは花井さんの局所を割り開くことを意味している。

 しばらく手が止まったまま。

「ねえ、先にこっち留めてよ」
 手首を後ろ手にして重ねる。
「う、うん」
 あッ!!
 その時僕は全身に電気が走ったようなショックを受けた。
 花井さんの手を背中の手枷にそれぞれ拘束しながら、僕の指は興奮でブルブルと震えていた。
『先にこっち留めてよ』
 ……これは、彼女の明確な意思表示なのか、それとも彼女の天然なのか?
 先に手を拘束されることで、花井さんは自分の股間を割るベルトを、僕の手で締めてもらわざるを得なくなったのだ。

 僕は気付いてしまった。
 彼女の内包するすばらしく奔放な性格に。
 自分でそれを自然体だと思うことで無意識に相殺していた、淫らで伸びやかな彼女の内側。
 外面何事もサラリと受け流しながら、内面炎のように燃える劣情を、無表情の仮面で隠して。

 僕はゴクリと生唾を呑んで、彼女の背後からお尻の下に手を通し、前にぶら下がるベルトの端を掴み、そっと股下を通してお尻の上のバックルに通し、キュッと引き上げた。
「あっ!」
 花井さんは小さく叫んだ。

 僕の気持ちが急速にある方向へ向かってる。
 自分で止められぬほどに。

「花井さん、平気?」
「うん。 石垣くんはどうなの? あたしなんかのモデルで満足?」
「……」
「もっと色っぽいモデルがいいよね、どうせなら」
「……」
「あ、そうそう、あたしがこんなことするのも、石垣くんにカノジョが出来るまでだからね。カノジョできたら、ちゃんとその子にやってあげなよ?」
「花井さん……」
「なぁに?」
「もっと自分に正直になりなよ」
「えー? さっき言ったじゃない、これ以上ないほど自然体だって」
「僕、本当の花井さんが見たいな」
「な、何言ってるの? 石垣くん」
「口開けてよ」
 僕はボールギャグを取り出した。
 それを見て少しギョッとする花井さん。
「あ! ああ、ごめん、あたし、調子のってちょっとペラペラ喋りすぎた? こ、こんなんじゃ萎えちゃうよね。ごめんね あ!ゃ……あぐッ!」
 この瞬間の花井さんの表情は、僕の嗜虐心を猛烈に掻き立てた。
「……花井さん、本当は感じて感じて感じまくってるんでしょ?」
「……んがーーう!!」
 花井さんは突然真っ赤になって、ブンブンと顔を横に振った。
「やっと本当の花井さんが出てきたね。 僕、形振り構わず乱れる花井さんが見てみたい……」
「ん!が!う!」
 花井さんは僕を睨んで叫んだ。
「違うもんか。 ほら、その証拠に、ここがこんなになってるよ」
 股間を通るベルトの前の部分を触ると、そこはもう大洪水で、ベルトはがヌルヌルと浮いて滑るほどに濡れていた。
「んあああぁ……!」
 花井さんは耳が千切れそうなほど真っ赤に赤面して、こんどは弱々しい表情になって、まだそのことを否定しようとするかのように、かぶりを緩く振っている。

「花井さん、素顔で乱れるところを見られるのが嫌なら、これをあげるよ」
 僕はこの前買った全頭マスクのヒモを解き、真っ赤になって目を潤ませている花井さんの顔に被せた。
「んあぁぁぁ……」
 弱々しく声を上げるものの、抵抗しない花井さん。
 彼女の後ろに回り、頭のてっぺんの部分から徐々に編上げを締め込んで行く。
 視界を完全に奪われ、鼻の部分に明いた小さな穴から辛うじて呼吸している。
 この全頭マスクにはもともと口の穴も無い上に、ボールギャグを噛ませた上から嵌めてしまったので、花井さんはもう、まともに喋ることが出来ない。

「ンフーーン!」
「さぁ、もう君が花井さんだってことを表すものは何もないよ。ただ快感に悶え蠢く、名も無い肉の塊になったんだ」
「ンンンンン……」

 僕はユニットバスからバスタオルを取ってきて、ベッドの上に敷き、目の見えない花井さんを誘導するようにして、その上に寝かせた。
「腕、痛くない?」
 真っ黒な全頭マスクの頭がウンと頷く。
 花井さんはベッドに直角に、上半身ベッドの上で足だけベッドから出して仰向けに寝て、つま先だけ軽く床に着けている。
 突然の展開に頭が混乱しているのか、足はぴったり閉じず、自然に緩く開いていて、薄めの翳りの中央を黒い革ベルトが通っているのがモロに見える。
 その周囲は粘液でヌラヌラと輝き、股の内側にも垂れた跡が見えた。

 さっき意を決してキュッと引き上げた革ベルトだが、まだ締め込みが甘くて、単に秘所の上を覆うのみで割り開くまでは至っていない。
 僕はそのベルトを少し持ち上げ、横にどけた。
 ビクッ!と一瞬花井さんが震えた。

 ぼくにとってはなにもかも初めてなのに、なんでこう手が動くのだろう。
 本当の花井さんを垣間見、僕の思ったとおりの反応をすることが、僕の中の何かを目覚めさせてしまったのか。
 初めて見る女性のソコ。
 しかもクールな美人で通っている同級生の、ソコ。

 乳首同様、左右の花弁は慎ましやかで、醜いフレアもなく、プリッと整った薄ピンクの唇のように開いていた。
 しかしその中心は下地の粘膜が歪んで見えるほど淫らな粘液を湛え、処女膜が覗ける深い穴が、花井さん自身の本当の姿を語りたいが如く、ぽっかりと口を開いていた。
 ついでに目に飛び込んでくる尿道口とお尻の穴は、こんな美人の女の子でも排泄はするのだということをまざまざと僕に見せ付けた。

 そして、一番敏感な木の芽は、ネットなどで見かける普通サイズよりもかなり大きく、僕の小指の頭ほどもあり、煩わしそうに包皮を持ち上げながら、鮮やかなピンク色に輝いてこれみよがしに突き出ていた。

 僕は、その一言が彼女を傷つけるのか救うのか、一瞬のうちに何度も頭で検証してから、恥じらいを弾けさせる呪文を口にした。
「花井さん、クリトリス大きいね」
「フンーーーーーーー!!!」
 全頭マスクンの頭をブンブン振って、必死で僕の言葉嬲りを否定しようとする。
「でもコレ、すっごく素敵だ……」
「ンンーーーーーー!!」
 まだブンブン振る。しかしクールで表情に乏しい花井さんにしてはすごく激しいリアクションで、僕は嬉しくなった。

「本当に綺麗だよ。 このピンク色に吸い込まれそうだ。 きっと感度もいいんじゃない?」
 そう言いながら、僕は濡れたソコの粘液をたっぷり指に絡め、そっとその赤い突起に触れた。
「ン!!」
 ビクン!と花井さんの体が引き攣る。

 僕は自分でオナニーするときのように、粘液を絡めながら、そっと、そっと、何度も同じ方向に擦り上げた。

「ンンンンン……」

「ンンンンン……」

「ンーーフ……」

「ンーーフ……」

「ンーーフ……」

「ンーーフ……」

 花井さんが荒い息で大きな呼吸を繰り返す。
 軽くつまんだりしながら、何度も何度も同じ方向に擦る。

「ンンンンン……」

「ンーーフ……」
「ンーーフ……」

 拘束具で戒められた胸が大きく上下し、お腹の上にうっすらと汗の玉が散る。

「だれも君だとわからないから、思い切り乱れていいんだよ」

 ちょっと意地悪く、コリッとクリトリスをつまみ上げる。

「ンーーーー!!!」

 ぎゅううんと体が反る。

 また丁寧な刺激に戻る。
「ンーーフ……」
「ンーーフ……」
「ンーーフ……」
「ンーーフ……」
 だんだん小刻みにビクビクと股が震えてきた。
「ンーーフ……」
「ンーーフ……」
「ンーーフ……」
「ンーーフ……」
「ンンーー」
「ンンーー」
「ンンーー」
「ン!」
「ン!」
「ン!」
「ン!」

 花井さん、逝きそうみたいだ。

「ン!」
「ン!」
「ン!」
「ン!」
「ン!」
「ンン〜〜〜」
 あまり痛くない程度に、クリトリスをピンと弾いた。

「ゴ!!!」

 ビクーン!!と思い切り引き攣った。

 すかさずクリ周りをコロコロと指先で刺激すると、不気味なほど無言のまま、ガックンガックンと引きつけてから、ガックリと脱力した。

「スー…… ピー……」
「スー…… ピー……」
「スー…… ピー……」

 ゆるやかに胸が上下し、全頭マスクの小さな穴を通る息が、少し滑稽な音を立てている。
 僕はベッドに乗り、花井さんの頭を少し起こして、全頭マスクの紐を解いた。
 汗でじっとりと重くなった革のマスクの下からは、未だボールギャグを口深く食い込まされたまま、ドロドロに惚けた花井さんの顔が現れた。
 目が合っただけで射精しそうな、潤んだ艶のある目を、半開きにして僕を見つめ、か細く呟いた。

「ひもひいい……」

 まだ朱に染まった耳の、その手前のもみ上げの捲れた細い髪の毛が、汗を含んで緩やかにウエーブしている。

 ボールギャクを外す。
 ぽっかり開いたままの口をゆっくり閉じながら、自分の唇についた唾液の糸の跡を舌で舐めまわす。
 焦点の合わない目で、必死に僕を見ているのがわかる。
 僕はたまらずその唇に自分の唇を重ねた。

 でもキスなんてしたこと無いから、そっから先どうやっていいかわからない。
 突然、重ねた唇の間から舌がねじ込まれた。
 その舌は驚く僕の口中を嘗め回し、すぽんと引っ込んだ。
 目線を花井さんに戻すと、目尻が笑ってる。

 僕は『やったなぁ』というちょっとふざけた気分になって、今度は僕が彼女の口の中を舐めまわす。
 花井さんは、それをしばらく許したあと、今度は自分の舌で押し返してきた。
 彼女の舌をさらに押し戻そうとしたとき、舌のザラザラ同士が、ゾロリと擦れあった。
 ゾクッ!とする快感が走り、その感覚をもう一度味わいたくて、再び舌を擦り合わせた。

 きもちいい……
 キスってきもちいい……

 花井さんも、ニヤついた目からまた惚けた目になって、一心に僕の舌を吸っている。

 しばらくの舌の戯れの後、僕はパッと口を離した。

「起こして」
 いつもの口調で花井さんが言う。
 僕は一度ベッドから降り、花井さんの上半身を抱えてベッドに腰掛けさせた。

「あのさ、たぶん、これってあたしがお礼いうべきなんだろうね。ありがとう」
「とんでもない! 僕の方こそ暴走しちゃってごめん」
「ううん。 本当にありがとう。素直に言えるよ、あたし。『気持ちよかった』って」
「花井さん、最高にかわいかったよ」
 花井さんがまた赤くなった。
「あたし、『かわいい』って言われたことないんだ。 ……もっと言って」
「花井さん、最高にかわいい」
「エヘヘ…… 全頭マスクされてたのに?」
「うん。 自分を素直に出せる人はみんなかわいいんだよ」
「そうかぁ。 テレるけどキモチイイね」
「もう脱ぐかい?」
「ううん…… あたしが素直になれたところで、お願いがあるんだけど」
「なに?」
「この拘束具、いっぺん思い切り締め込んでっ! ……はぁ、言っちゃった」
 花井さんは耳が燃え上がりそうなほど真っ赤になった。

「……いいよ。 立ってみて」
 花井さんは、まださっきの興奮が抜けきってないようで、フラフラしながら立ち上がった。

「首輪の締め込みは、もう限界だよね」
「うん。さすがに窒息しちゃう」
「じゃ、胸、締めるよ」
「うん…… ふあぁッ!」
「きつい?」
「ううん…… きついのがキモチイイ」
 語調は依然クールなままだけど、素直に気持ちを吐露する花井さんがかわいい。
「お腹は?」
「もうひとコマならいけそう」
「締めるよ」
「……ふぅ…… やっぱきついなぁ、あたし太ったかも」
「そんな良いスタイルで何言ってるの」
「比較のもんだいよぉ。 あ、ほら、股もぐいっと……お願い」
「いいの? 触るよ?」
「うん……」

 一度お尻の上の留め金を緩め、花井さんの股のまん前にしゃがんで、片手でベルトの端を持ち、少し緩めた。
 にちっと糸を引きながら、ほぐれきった可憐な花園が、縦長の花弁を覗かせる。
 僕は少し嗜虐心が刺激され、その花弁の合わせ目にある、大振りの木の芽を、空いてる方の手で、ぷっつりと剥いた。

「あ!やああぁ!!」

 叫ぶ花井さんを無視して、その上からベルトを戻し、掴んでいるベルトの端を強く引いた。

「き!きああああ!!!!」

 花井さんのおっきなクリトリスはベルトで潰され、ベルトの端を引くほどに、黒い革は股間の割れ目へ食い込んでゆく……

「はふぅッ!はふぅッ!」

 花井さんの膝がガクッ、ガクッ、と抜けたようになり、体が危なっかしく傾く。

「ご、ごめん、あたし倒れそうだぁ」

 ベルトの留め金を締め終わった僕は、すぐに立ち上がり、花井さんを抱いて支えた。
 服を着ている僕が、ほとんど裸の花井さんを、立ったまま抱く。
 花井さんは女子では身長があるほうなので、僕の肩にちょうど顎が載る。

「はふぅッ…… はふぅッ……」

 僕の腕の中で、女の子が全身拘束具で身体を戒められ、後ろ手に自由を奪われて、その羞恥と被虐の快楽に震えている。

「ねぇ、石垣くん……」
「ん?」
「あたし、饒舌になっても許されるんだよね?」
「うん」
「ペラペラ喋っても、萎えない?」
「うん、ただし、条件があるよ」
「えっ?」

「いやらしい言葉しか、喋っちゃダメだ」

「あ……! はふっ……」

 僕の腕の中で、滑らかな裸身が黒い革ベルトを軋ませながら蠢く。

「ごめ……じっとしてられないんだ。 か、感じ……ちゃって…… 全身が、無理矢理ちぢこめられるようで…… 容赦なく食い込むベルトがキモチイイのォ!」

 心のストッパーが外れたのか、花井さんは淫らな自分の様子を、口からほとばしるように喋り始めた。

「スゴイ…… ほんとにスゴイよ…… ギシギシって、悶えれば悶えるほど食い込んじゃう! ああああっ!」

 激しく身をくねらせる。

 僕の理性は限界に近かったが、ここで彼女を押し倒して自分が満足するより、彼女の想いを昇華させたほうが、そのあと楽しいことがたくさんありそうだ。

「キモチイイよぉ…… 『キモチイイ』って口に出すのがキモチイイ……」

 僕は花井さんをまたベッドにそっと横たえた。
 花井さんはさっきと違って、淫らな本能のままに身体をくねらせ、更なる快感を得ようとしている。

 僕は鞄の中からローターを取り出した。
 このあいだ、花井さんのお店でお父さんが、これもサービスで入れてくれたのだ。

 僕の中指ほどの細長いローターは、中に電池を内臓していて、リモコンも強弱の調節もない簡単なものだ。

「花井さん、ギチギチの中で逝くといいよ。今度は全頭マスクなしで」
「何する気……?」
「ほら」
 花井さんにローターを見せた。

「あああ!」

 一瞬、蕩けた瞳がカッと見開かれ、それから自分の身に何が起こるか察して、ウルウルと潤んできた。

 僕はもじもじと擦り合わせている花井さんの股を少し開くと、ローターを捻ってスイッチを入れた。
 モーターと電池だけの単純なローターなので、最初からパワーは全開のみだ。

 ――ヴィイイイイィィィン――

 強烈に振動するローターを、花井さんのクリトリスが、剥かれて押し潰されているあたりにそっと押し当てた。

「やあああああああ!!!!!」

 いきなり大声で絶叫すると、ガクンガクンと引きつけて、花井さんは一瞬で昇天した。

 すぐにローターを止め、花井さんを覗き込む。

「んむ…… ン……」

 うわ言のように、小さな呻き声を漏らしながら、穏やかな表情で余韻に浸っているようだ。

「花井さん…… 花井さん、大丈夫?」
「ふわぁぁ…… 気持ちよかったぁ〜  うわあぁ、ギチギチに締められたままだから、まだ余韻が続いてるよぅ」
 もじもじと身体をくねらせてブルッと震え、甘えた目つきで僕を見る。
 そのまましばらく蕩けた表情で、花井さんはトロトロの余韻に浸っていた。

「立てる?」
 ちょっと心残りな顔をしている花井さんを立たせて拘束具を全部脱がせ、花井さんがシャワーを使っている間に拘束具他を片付けた。

 しばらくすると、花井さんはしっかり下着も服も着てユニットバスを出てきた。
「ふー、サッパリした。 石垣くんもシャワー使えば?」
「僕はあとでいいよ」
「なんか、あたしばっかり気持ちよくなって悪いなぁ」
「僕は花井さんにアレ着せることが出来て、満足だったけど」
「そうそう、あの、その、えーと… ク、クリトリス、あんなに剥いたら、痛いよぉ」
「わ、ごご、ご、ごめん」
「今度はなにかソフトに刺激するものを考えないとね。 お店にあったアレとかいいなぁ。ねぇ、あたしがお店でお客さんに説明するのに、ここでの経験を引用したら、怒る?」
「あ、い、いや、き、気にしないよ」
「うれしい! あたしにとっては一石二鳥だ」
「よ、よかったね」
「きもちいい上に、お店の役に立つなんて」
「なんか、花井さん、だんだん元のペースに戻ってきたね」

 すると花井さんは、今まで見たこともないいたずらっぽい顔でニヤーッと笑って急に顔を僕に近付けた。
「そんなことないよ。 ほら、お父さんが言ってたように、一皮剥けた気がするもん」

 いきなり僕に唇を重ねた。
「おブっ」
 二人とも目を閉じ、チュクチュクと唾液を交換する。
 そして、すぐに唇を離した。
「は、花井さん、いきなり進化しすぎかも」
 僕は袖で口を拭きながら言った。
「だ〜か〜ら〜、自然体でやってるんだも〜ん。 ……でも……石垣くんの前だけだよ」
 と言って屈託のない笑顔で笑った。




[終]
















HOME | 小説目次 |
 





powered by HTML DWARF